言語レベルA1〜C2って何?CEFRで見る子供の言語能力評価【2025年最新】

ヨーロッパのインターナショナル教育傾向

インターナショナルスクールを検討する際、「CEFR」という言葉を耳にしたことはありませんか。CEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)は、言語能力を客観的に測る国際的な基準として、ヨーロッパで開発され、現在は世界中で使われている評価システムです。A1からC2まで6段階のレベルで言語能力を示すこの枠組みは、インターナショナルスクールでの言語教育において重要な役割を果たしています。

多くの日本の親にとって、英語学習といえば文法や単語の暗記というイメージが強いかもしれません。しかし、インターナショナルスクールでは英語を学ぶのではなく、英語で学ぶことが基本です。そのため、子どもの言語能力を正確に把握し、適切なサポートを提供するために、CEFRのような客観的な評価基準が不可欠となります。

実際、息子が通う国際バカロレア認定の米国基準インターナショナルスクールでは、定期的にCEFRに基づいた言語評価が行われており、それぞれの生徒の言語発達に合わせた個別指導が実施されています。この評価システムにより、英語が母語でない生徒も安心して学習に取り組むことができる環境が整えられているのです。

CEFRの基本構造と6つのレベル分類

CEFRは2001年にヨーロッパ評議会によって策定された言語能力の共通指標です¹。この枠組みは、異なる言語や文化背景を持つ人々が共に学び、働く現代社会において、言語能力を公平かつ透明に評価する必要性から生まれました。特にヨーロッパでは、EU統合により人々の移動が活発化し、多言語社会への対応が急務となったことが背景にあります。

この共通参照枠は、言語学習者が何をできるようになったかを「Can Do」形式で記述することに重点を置いています。これは従来の「何を知っているか」ではなく、「何ができるか」を基準とした実践的なアプローチです²。この考え方は、現代のインターナショナルスクールでの言語教育において、非常に重要な指針となっています。

A1・A2レベル:基礎段階の言語能力

A1レベルは「入門者」とも呼ばれ、最も基本的な言語能力を示します³。このレベルでは、自分や他者の紹介、住んでいる場所、知っている人について簡単な質問をしたり答えたりできます。相手がゆっくりはっきりと話し、助けてくれる場合に限って、簡単なやり取りが可能です。具体的には、「私の名前は〜です」「どこに住んでいますか」といった非常に基本的な表現を使うことができるレベルです。

A2レベルは「初級者」レベルで、日常生活の身近な話題について基本的なコミュニケーションが取れます⁴。家族、買い物、地理、仕事など、直接的で日常的な情報交換を必要とする活動に参加できるようになります。過去の出来事や将来の計画についても、簡単な表現で話すことができます。このレベルでは、レストランでの注文や道案内を受けることなどが可能になります。

インターナショナルスクールの幼稚園から小学校低学年の生徒の多くは、このAレベルから言語学習をスタートします。重要なのは、この段階では完璧さよりも、コミュニケーションへの意欲と基本的な理解力を育てることです。多くの研究が示すように、この段階では間違いを恐れずに積極的に話すことが言語習得に最も効果的であることが分かっています⁵。

幼児期から小学校低学年にかけては、言語習得の黄金期とも呼ばれており、自然な環境の中で言語を身につける能力が最も高い時期です。インターナショナルスクールでは、この時期の特性を活かして、遊びや体験学習を通じた言語習得を重視しています。子どもたちは歌やゲーム、ストーリータイムなどの活動を通じて、自然に言語パターンを身につけていきます。

B1・B2レベル:自立した言語使用者への道筋

B1レベルは「中級者」として位置づけられ、学校、職場、余暇などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば主要点を理解できます⁶。その言語が話されている地域を旅行している際に起こりそうな、たいていの事態に対処することができるレベルです。このレベルでは、自分の経験や出来事、夢、希望、野心について説明でき、意見や計画の理由や説明を簡潔に述べることができます。

B1レベルに達すると、学習者は言語を使って実際の問題解決ができるようになります。例えば、旅行先でのトラブル対応、簡単な交渉、自分の意見の表明などが可能になります。また、馴染みのあるトピックであれば、ラジオやテレビのニュースの要点を理解できるようになります⁷。

B2レベルでは「中上級者」として、自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的で具体的な話題の複雑なテクストの主要な内容を理解できるようになります⁸。ネイティブスピーカーとも自然で流暢な対話が可能で、お互いに緊張することなくコミュニケーションを取ることができます。このレベルでは、幅広いトピックについて明確で詳細な文章を作成でき、時事問題について自分の観点を説明できるようになります。

インターナショナルスクールのGrade 6-8の多くの生徒は、このBレベルの範囲で言語能力を発達させています⁹。息子のGrade 7クラスでも、B1レベルに達した生徒から、より高度な学術的な内容にも挑戦できるカリキュラムが用意されており、段階的な成長をサポートしています。

Grade 7という中学1年生相当の年齢では、抽象的思考能力が発達し始めるため、言語学習においても より深い内容の理解が可能になります。この時期の生徒たちは、単純な事実の理解だけでなく、因果関係や論理的な思考を言語で表現できるようになってきます。

C1・C2レベル:熟練した言語使用者の境地

C1レベルは「上級者」として、幅広い分野の高度で長いテクストを理解し、含意も把握できるレベルです¹⁰。流暢で自然な自己表現ができ、言葉を探しているという印象を与えることなく話すことができます。社会的、学問的、職業的目的で言語を柔軟かつ効果的に使うことができます。このレベルでは、複雑な主題について明確で良く構成された詳細な文章を作成でき、文章をまとめるための適切な手段を駆使することができます。

C1レベルに達した学習者は、言語の微妙なニュアンスや文化的背景も理解できるようになります。また、アカデミックな環境や専門的な職場でも効果的にコミュニケーションを取ることができ、複雑な議論や交渉にも参加できます。このレベルでは、言語は単なるコミュニケーションツールを超えて、深い思考や創造的表現の手段となります¹¹。

C2レベルは最高レベルの「熟練者」で、読んだり聞いたりするほぼすべてのものを容易に理解することができます¹²。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠や説明を一貫して再構築できるレベルです。このレベルでは、ネイティブスピーカーと同等かそれ以上の言語運用能力を持つことになります。

C2レベルは「受容したものすべてを容易に理解できる」とされており、事実上、教養あるネイティブスピーカーと同等の言語能力を意味します。ただし、これは単に流暢に話せるということではなく、言語の持つ微細な意味合いや文化的コンテクストまで完全に理解し、適切に使い分けることができるレベルです。

インターナショナルスクールの高校生や卒業生の中には、このCレベルに到達する生徒もいます。しかし重要なことは、C2レベルに達することが最終目標ではなく、それぞれの生徒が自分の将来の目標に必要な言語能力を身につけることです。多くの大学や職場では、B2からC1レベルがあれば十分に機能できることが多く、完璧を求めすぎずに実用的な言語能力の習得を目指すことが大切です。

ヨーロッパの多言語教育政策とCEFRの実践活用

ヨーロッパ連合では、すべての市民が母語に加えて少なくとも2つの外国語を学ぶことを目標とする「母語+2言語」政策を推進しています¹³。この政策の背景には、言語の多様性を保護しながら、ヨーロッパ統合を進めるという理念があります。CEFRは、この多言語政策を実現するための具体的なツールとして機能しています。

この政策は、単に実用的な言語能力の向上を目指すだけでなく、文化的理解と寛容性の育成も重要な目的としています。異なる言語を学ぶことで、異なる文化や思考方式に触れ、より開放的で包容力のある市民を育成することが期待されています。これは、インターナショナルスクールが目指す国際的な人材育成の理念とも一致しています¹⁴。

EU諸国における段階的言語習得システム

ヨーロッパの多くの教育省では、中等教育修了時の明確なCEFRベースの目標が設定されています¹⁵。例えば、第一外国語でB2レベル、第二外国語でB1レベルの達成が期待されています。この段階的アプローチでは、各学年でCEFRレベルに基づいた到達目標が設定されており、生徒たちの継続的な言語発達が図られています。

フランスの教育システムでは、小学校3年生から第一外国語(主に英語)の学習が始まり、中学校1年生で第二外国語の選択が行われます。各段階でCEFRレベルに基づいた明確な到達目標が設定されており、小学校卒業時にA1レベル、中学校卒業時にA2レベル、高校卒業時にB2レベルの達成が期待されています¹⁶。

ドイツでは、連邦制のため各州によって教育システムが異なりますが、多くの州でCEFRを基準とした言語教育カリキュラムが採用されています。特に注目すべきは、移民背景を持つ生徒への言語サポートシステムで、CEFRレベルに基づいた個別指導プログラムが充実しています¹⁷。

スペインでは、地域言語(カタルーニャ語、バスク語、ガリシア語など)との関係も考慮した複雑な多言語教育システムが展開されています。各地域の教育当局は、CEFRを活用して地域言語、スペイン語、外国語の3言語での能力育成を図っており、生徒一人ひとりの言語背景に応じた柔軟な評価システムを導入しています。

CEFRは現在、ヨーロッパだけでなく世界40言語以上で利用可能になっており¹⁸、グローバルな言語教育の標準として認識されています。特に、アジアやラテンアメリカの一部の国々でも教育システムに採用されており、国際的な言語能力評価の統一化が進んでいます。

この国際的な統一基準により、インターナショナルスクールの生徒たちは、世界中の大学への進学準備を効率的に進めることができます。また、保護者にとっても、子どもの言語能力の現状と将来の可能性を客観的に把握できる安心材料となっています。

国際的な大学入学資格としてのCEFR認定

現在、世界中の多くの大学では、入学要件として特定のCEFRレベルの証明を求めています¹⁹。これにより、学生は入学前に必要な言語能力を明確に把握でき、効率的な準備が可能になっています。特に国際バカロレア高校プログラムへの入学では、B2レベルが一般的な要求水準となっています²⁰。

イギリスの大学では、EU離脱後も多くの機関でCEFRを参考指標として活用しています。オックスフォード大学やケンブリッジ大学などの名門校では、留学生に対してC1レベル以上の英語能力を求めており、CEFRに基づいた公式試験の結果を入学審査に反映させています。

フランスの高等教育機関では、非フランス語話者に対してB2レベル以上のフランス語能力を要求することが一般的です。Campus Franceによると、多くの大学院プログラムではC1レベルが推奨されており、特に人文科学や社会科学分野では高い言語能力が求められています。

この標準化された評価システムにより、インターナショナルスクールで学ぶ生徒たちは、世界各国の高等教育機関への進学において、言語能力を客観的に証明することができます。これは、従来の各国独自の言語試験に比べて、はるかに透明性が高く、公平な評価システムといえます。

また、多くの雇用主も、職務に必要な言語能力をCEFRレベルで明示するようになっており²¹、将来のキャリア形成においても重要な指標となっています。これは、子どもたちが将来グローバルな職場で活躍するための基盤作りとして、非常に価値のあるものです。

職業教育と資格認定におけるCEFR活用

ヨーロッパでは、職業教育や技術教育においてもCEFRが重要な役割を果たしています²²。特に、移民背景を持つ若者たちの言語的統合を支援するプログラムでは、CEFRに基づいた評価とサポートシステムが構築されています。

ドイツの二元制職業教育システム(デュアルシステム)では、見習い制度に参加する若者たちが、職場で必要な言語能力をCEFRレベルで評価され、それに基づいた研修プログラムが提供されています。このシステムにより、実践的な職業スキルと言語能力を同時に身につけることが可能になっています。

EU域内での労働者の移動をスムーズにするため、職業資格の相互認証システムにおいてもCEFRが活用されています。このシステムにより、異なる国で取得した職業資格と言語能力を統一的に評価することが可能になり、国境を越えた人材の流動性が促進されています。

医療従事者の場合、患者の安全に直結するため、特に厳格な言語能力基準が設けられています。看護師や医師がEU加盟国間で働く際には、医療用語や患者とのコミュニケーションに必要な言語能力がCEFRレベルで評価され、必要に応じて追加の言語研修が提供されます。

このような職業分野でのCEFR活用は、インターナショナルスクールで学ぶ生徒たちにとっても将来のキャリア形成において大きなメリットとなります。多言語能力を客観的に証明できることで、国際的な職場での競争力を高めることができるのです。

インターナショナルスクールでの実践的言語評価方法

インターナショナルスクールにおけるCEFRの活用は、単なる試験の点数で言語能力を測るのではなく、実際のコミュニケーション能力や学習への応用力を総合的に評価することに重点を置いています²³。これは、従来の日本の英語教育で重視されてきた文法や語彙の知識習得とは大きく異なるアプローチです。

従来の言語教育では、「何を知っているか」に焦点が当てられていましたが、CEFRに基づく評価では「何ができるか」を重視します。これは、言語を実際のコミュニケーション場面で使用する能力を測定することを意味し、より実践的で有用な評価システムと言えます。

タスクベース評価による実践的能力測定

現代のインターナショナルスクールでは、タスクベース評価が主流となっています²⁴。この手法では、生徒が実際の生活や学習場面で遭遇するような課題を解決する過程で、言語能力を評価します。例えば、科学の授業で実験結果をプレゼンテーションする際の言語使用や、社会科の授業で歴史的事件について議論する際のコミュニケーション能力などが評価対象となります。

タスクベース評価の特徴は、言語を目的ではなく手段として扱うことです。生徒たちは特定の課題を達成するために言語を使用し、その過程で自然に言語能力が評価されます。これにより、より真正性の高い評価が可能になり、実際の言語使用場面での能力をより正確に測定できます。

CEFRでは、言語活動を4つのカテゴリーに分類しています²⁵:受容(リスニングとリーディング)、産出(話すことと書くこと)、やり取り(話すことと書くこと)、そして仲介(翻訳と通訳)です。この分類により、従来の「4技能」を超えた包括的な言語能力評価が可能になっています。

2020年に公開されたCEFR Companion Volumeでは、従来の枠組みに加えて、オンラインでのやり取りや仲介活動についても詳細な記述子が追加されました。これは、デジタル時代の言語使用実態を反映したものであり、現代の学習者により適した評価基準を提供しています。

息子のGrade 7では、様々な科目でプロジェクトベースの評価が行われており、言語能力と学習内容の理解が統合的に評価されています。このような活動では、リサーチ能力、批判的思考、プレゼンテーション能力、そして交渉スキルなど、複数の能力が統合的に評価されます。

この統合的アプローチにより、生徒たちは言語を「学習科目」としてではなく、「学習ツール」として認識するようになります。実際、英語が苦手だった保護者の方々も、子どもたちがこのような環境で学ぶことで、自然に言語能力を身につけていく様子を目の当たりにし、従来の英語学習に対する固定観念が変わったという声を多く聞きます。

自己評価と相互評価を取り入れた総合判断

CEFRの特徴的な要素の一つは、学習者自身による自己評価を重視している点です²⁶。生徒たちは定期的に「私は〜することができる」という形式のチェックリストを使用して、自分の言語能力を客観的に振り返ります。この自己評価は、学習への主体性を育てるとともに、教師による外部評価と組み合わせることで、より正確な能力判定を可能にします。

自己評価の重要性は、言語学習における自律性の育成にあります。学習者が自分の強みと弱点を正確に把握することで、より効果的な学習戦略を立てることができるようになります。また、自己評価能力は生涯学習において不可欠なスキルでもあります。

息子の学校でも、Grade 7の生徒たちは四半期ごとに自己評価シートを記入し、自分の学習進度を振り返る機会が設けられています。これにより、生徒たちは自分の強みと改善点を明確に把握しながら学習を進めることができます。

また、多くのインターナショナルスクールでは、相互評価システムも積極的に導入されています²⁷。生徒同士がお互いの言語使用を評価し合うことで、多様な視点からの学習フィードバックを得ることができます。この方法により、競争ではなく協力を基盤とした学習環境が生まれ、言語学習への不安を軽減する効果も確認されています。

相互評価は、評価される側だけでなく、評価する側の学習にも大きな効果をもたらします。他者の作品や発表を評価する過程で、評価基準への理解が深まり、自分自身の学習にも活かすことができるようになります。また、建設的なフィードバックを与える能力は、将来の協働作業において重要なスキルとなります。

多技能統合型評価による包括的言語能力測定

従来の言語評価では、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの4技能を別々に測定することが一般的でした。しかし、CEFRに基づく現代的な評価では、これらの技能を統合した形での能力測定が重視されています²⁸。実際のコミュニケーションでは、複数の技能を同時に使用することが多いためです。

多技能統合型評価の利点は、より真正性の高い言語使用場面での能力を測定できることです。実際の生活や職場では、単一の技能のみを使用することは稀であり、複数の技能を組み合わせて課題を解決することが一般的です。そのため、統合型評価は、実用的な言語能力をより正確に反映します。

多くのインターナショナルスクールでは、「統合型プロジェクト評価」を導入しています。生徒たちは、特定のテーマについて調査し(リーディング)、専門家にインタビューを行い(スピーキング・リスニング)、その結果をレポートにまとめ(ライティング)、クラスで発表する(スピーキング・リスニング)という一連の活動を通じて評価されます。

例えば、環境問題をテーマとしたプロジェクトでは、生徒たちは科学的な資料を読んで理解し(リーディング)、環境保護団体の専門家にインタビューを行い(スピーキング・リスニング)、収集した情報を分析してレポートを作成し(ライティング)、最終的にクラスメートや教師の前で発表します(スピーキング)。このような活動では、言語技能だけでなく、批判的思考力や問題解決能力も同時に評価されます。

この統合型評価により、生徒たちは言語を実践的なコミュニケーションツールとして活用する能力を身につけることができます。また、WIDA MODEL OnlineなどのCEFR準拠の評価システムでは、Grade 6-8の生徒がB2/C1レベルまで測定可能であることが確認されており²⁹、中学生年代でも高度な言語能力の習得が期待できることが分かります。

デジタル技術の発達により、統合型評価はさらに多様化しています。オンラインプラットフォームを活用したプロジェクト作成、ビデオ会議を通じた国際交流、ブログやウェブサイトでの情報発信など、21世紀のリテラシーと言語能力を組み合わせた評価方法が増えています。

ただし、この評価方法には課題もあります。評価基準が複雑になりがちで、教師の専門性や経験によって評価の質に差が生じる可能性があります。そのため、定期的な教師研修や、標準化された評価ルーブリック(評価基準表)の開発が不可欠となります。多くのインターナショナルスクールでは、こうした課題に対応するため、継続的な教育品質向上システムを構築しており、保護者も安心して子どもを託すことができる環境づくりに努めています。しかし、問題は必ず起こるものです。その際には、学校とのオープンなコミュニケーションを通じて、個別のサポート計画を策定し、子どもの学習進度に合わせた柔軟な対応が取られるため、結果的に安心できるシステムとなっているのです。

評価の信頼性を確保するため、多くのインターナショナルスクールでは複数の評価者による評価(モデレーション)を実施しています。これにより、個人的な偏見や主観的な判断を排除し、より客観的で公正な評価を実現しています。また、定期的な評価者間の協議により、評価基準の統一化と質の向上を図っています³⁰。

言語評価におけるもう一つの重要な側面は、形成的評価(フォーマティブ・アセスメント)の活用です。これは、学習過程での継続的な評価とフィードバックにより、学習者の成長を支援する評価方法です。最終的な成績を決めるための総括的評価(サマティブ・アセスメント)とは異なり、形成的評価は学習改善のための情報提供を主目的としています。

現代のインターナショナルスクールでは、テクノロジーを活用した革新的な評価方法も導入されています。人工知能を活用した自動採点システム、音声認識技術による発話評価、デジタルポートフォリオシステムなどにより、より効率的で正確な評価が可能になっています。これらの技術は、教師の負担を軽減しながら、学習者により詳細で即時的なフィードバックを提供します。

特に注目すべきは、適応的評価システム(Adaptive Assessment)の導入です。これは、学習者の能力レベルに応じて問題の難易度を自動調整するシステムで、より正確で効率的な能力測定が可能になります。個々の学習者に最適化された評価により、過度に困難すぎる問題や簡単すぎる問題を避け、適切なチャレンジレベルを維持できます。

言語学習において、文化的側面の理解も重要な要素です。CEFRでは、言語使用の社会言語学的適切性や語用論的能力も評価対象に含まれており、単に文法的に正しい文を作ることだけでなく、状況に応じた適切な言語使用ができるかどうかも重視されています。これは、真のコミュニケーション能力を測る上で欠かせない要素です。

インターナショナルスクールでは、多文化環境を活かして、実際の異文化コミュニケーション場面での言語使用能力も評価されます。同じクラスに様々な国籍の生徒がいることで、教科書では学べない実践的な文化間コミュニケーション能力を身につけることができます。

言語学習における動機づけの重要性も近年注目されています。CEFRに基づく評価システムでは、学習者の内在的動機を高めるため、達成可能な短期目標と長期目標を明確に設定することができます。小さな成功を積み重ねることで、学習者の自信と学習意欲を維持することが可能です。

特に日本の学習者にとって重要なのは、「間違いを恐れない」文化の醸成です。日本の伝統的な教育では完璧性が重視される傾向がありますが、言語学習では試行錯誤と失敗からの学習が不可欠です。インターナショナルスクールでは、このような学習文化の転換を促し、より効果的な言語習得を支援しています。

言語学習は一朝一夕には成し遂げられないものですが、CEFRという客観的な指標があることで、生徒も保護者も教師も、現在の位置と目標を明確に把握しながら、着実な成長を遂げることができるのです。日本語の方が英語よりもはるかに複雑な言語システムを持っていることを考えれば、日本語を母語とする子どもたちには、必ず英語を習得できる素質があります。

実際、多くの言語学者が指摘するように、日本語の習得を完了した子どもは、すでに複雑な文法構造、多様な文字体系(ひらがな、カタカナ、漢字)、そして複雑な敬語システムを理解しています。これらの能力は、第二言語習得において大きなアドバンテージとなります。特に、日本語話者は音韻認識能力や文法的直感が発達しており、これらは他言語学習にも転移可能な能力です。

重要なことは、完璧を求めすぎずに、段階的な成長を認識し、褒めることです。CEFRの各レベルには明確な到達指標があるため、小さな進歩も具体的に確認できます。これにより、学習者のモティベーション維持と自信の構築が可能になります。

また、インターナショナルスクール環境では、言語学習が他の学習者との競争ではなく、自己の成長のプロセスとして捉えられています。多様な言語背景を持つ生徒たちが集まる環境では、誰もが「言語学習者」であり、互いの努力を理解し、支援し合う文化が自然に形成されます。

さらに、現代の言語教育では「エラーは学習の一部」という考え方が広く受け入れられています。間違いを恐れずに積極的にコミュニケーションを取ることが、最も効果的な言語習得方法であることが研究により明らかになっています。インターナショナルスクールでは、このような環境作りに特に力を入れており、生徒たちが安心して挑戦できる雰囲気を提供しています。

大切なのは、適切な環境と評価システムの中で、楽しみながら言語能力を育てることなのです。CEFRに基づく段階的な評価システムは、学習者にとって明確な道標となり、保護者にとっては子どもの成長を客観的に把握するツールとなります。そして教師にとっては、効果的な指導を行うための重要な指針となるのです。

最終的に、言語能力は一生涯にわたって発達し続けるものです。CEFRで示されるレベルは、特定の時点での能力を示すものであり、継続的な学習と実践により、さらなる向上が期待できます。インターナショナルスクールでの言語学習経験は、生涯にわたる多言語学習の基礎を築く重要な期間と位置づけることができるでしょう。

言語学習をサポートする優れたCEFR関連の専門書や、子どもの言語発達を理解するための実践的なガイドブック、さらには家庭でできる多言語学習アクティビティ集も多数出版されており、家庭での学習サポートに役立ちます。これらのリソースを活用することで、学校での学習を家庭でも継続し、より効果的な言語発達を促進することができます。

参考文献:

¹ Common European Framework of Reference for Languages – Wikipedia

² Council of Europe. CEFR Companion Volume

³-⁴ Tracktest English. English language levels (CEFR)

⁵ Cambridge University Press. Second Language Acquisition Research

⁶-⁸ Tracktest English. English language levels (CEFR)

⁹,²⁹ WIDA. WIDA MODEL Online scale scores linked to the Common European Framework of Reference (CEFR)

¹⁰-¹² Language Testing International. Common European Framework of Reference (CEFR) Scale

¹³-¹⁴ European Parliament. Language policy

¹⁵,¹⁸ EF SET. Understanding the Common European Framework of Reference for Languages

¹⁶ French Ministry of Education. Language Education Framework

¹⁷ European Centre for Modern Languages. CEFR Implementation Studies

¹⁹-²⁰ Tracktest English. English language levels (CEFR)

²¹ Oxford University Press. Don’t look now – the CEFR is in your classroom!

²² European Education Area. About multilingualism policy

²³,²⁵,²⁸ European School Education Platform. Step by step: Using the CEFR in the classroom

²⁴ Cambridge University Press. Task-Based Language Teaching

²⁶ Council of Europe. Common European Framework of Reference for Languages – European Language Portfolio

²⁷ RSC Education. Self and peer assessment | Principles of assessment for learning

³⁰ Council of Europe. Classroom assessment procedures

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