2025年最新:DSEと日本の大学受験を徹底比較|香港のインターナショナルスクール進学ガイド

アジアのインターナショナル教育傾向

香港のインターナショナルスクールで学ぶお子さまを持つ親御さんにとって、将来の大学進学は重要な関心事です。香港では2012年にDSE(Hong Kong Diploma of Secondary Education)制度が導入され、従来のイギリス型O-LevelとA-Levelシステムに代わる新しい大学入学資格として確立されました。一方、日本への進学を検討する場合、EJU(日本留学試験)という独自のシステムがあります。両システムを理解することで、お子さまにとって最適な進路選択ができるでしょう。

DSE制度の特徴と香港の教育環境

DSEの基本構造と評価システム

DSEは3年間の新高等中学教育(NSS)の修了時に実施される試験で、4つの必修科目(中国語、英語、数学、リベラルスタディーズ)と1-4つの選択科目から構成されています。評価は5段階のレベル制を採用しており、レベル5が最高評価となります。

私の息子が通う国際バカロレア認定校では、Grade 7の段階で既に将来の進路について考える機会が設けられています。2024年には43,160人の生徒がリベラルスタディーズ試験を受験し、89.6%がレベル2以上を達成しました。しかし、2022-2023年度では48,762人がDSE試験を受験したものの、香港の公立大学入学に必要な最低要件を満たしたのは17,391人(42.3%)にとどまっています。

この競争の激しさが、多くの香港の親御さんがインターナショナルスクールや海外進学を検討する理由の一つでもあります。実際、英語を学習言語とする環境では、お子さまは単に英語を学ぶのではなく、英語で学ぶことによって自然な言語習得が可能になります。

香港における多言語教育の実践

香港の学校では主に中国語(広東語)と英語で教育が行われ、多くの学校、特にインターナショナルスクールでは英語が主要な教育言語となっています。さらに、普通話(北京官話)も科目として導入が進んでおり、中国本土との関係を反映した重要性が高まっています。

三言語教育の環境では、お子さまは自然に複数の言語を使い分ける能力を身につけます。これは将来的に、どの国の大学に進学する際にも大きなアドヴァンテージとなります。実際、日本語よりも英語の方が言語構造的に習得しやすいため、英語環境で学習しているお子さまは既に高い言語習得能力を証明しています。

息子の学校では、Grade 7の段階で既に英語での授業が中心となっており、学校周辺の多国籍な環境により自然に多言語に触れる機会が豊富にあります。このような早期からの国際的な環境は、将来どの地域の大学に進学する場合でも有利に働きます。

インターナショナルスクールでのDSE対応戦略

インターナショナルスクールの生徒は、IBディプロマ、IGCSE、GCE A-level、OSSD、SAT/APなどの国際資格を取得することが多く、これらの資格はDSEと比較して大学入学において有利とみなされる傾向があります。しかし、問題は必ず起こります。

例えば、カリキュラムの違いや言語要件への対応です。しかし、インターナショナルスクールでは多様な進路指導カウンセラーが在籍し、各生徒の目標に応じて個別の学習計画を立てることで万全のサポートを提供します。また、DSE制度では中国語科目が学生に「死の科目」と呼ばれるほど難易度が高く、古典中国文学の広範囲な理解が求められますが、インターナショナルスクールでは中国語を母語としない生徒向けの代替言語選択肢も用意されています。

日本の大学受験制度とEJUの役割

EJUの概要と香港での受験機会

EJU(Examination for Japanese University Admission for International Students)は、日本の大学で学部レベルの教育を受けたい外国人留学生が、必要な日本語能力と基礎学力を備えているかを評価する試験です。2002年から年2回(6月と11月)、日本国内外で実施されており、日本語能力試験と外国人学生特別試験に代わるものとして導入されました。

香港では年2回EJUを受験することができ、アジア17都市の試験会場のうちの一つとして位置づけられています。EJUには日本語(外国語としての日本語)、理科(物理・化学・生物)、総合科目(日本と世界)、数学の科目テストが含まれています。

EJUについて詳しく学びたい方には、日本留学試験対策問題集が参考になります。息子の学校の進路指導カウンセラーと話をした際、日本への進学を希望する生徒の数は増加傾向にあることを聞きました。特に、日本の大学で英語プログラムが拡充されていることで、日本語能力が十分でない段階でも進学の可能性があることが魅力として挙げられています。

EJUと従来の日本語能力試験の違い

EJUは日本語能力試験(JLPT)と外国人学生特別試験の代替として採用され、2002年に日本の大学への入学を希望する外国人学生の標準的な入学試験となりました。日本語で学ぶプログラムに入学するにはJLPT N1レベルが必要とされ、英語プログラムの場合はIELTS 6.0またはTOEFL 100+が求められます。

しかし、問題は試験の準備期間と機会の限定性です。EJUは年2回しか実施されず、申請は2-3ヶ月前に行う必要があります。万が一最初の受験で思うような結果が得られなかった場合でも、年2回の受験機会があることで、十分な準備時間を確保して再挑戦することが可能です。また、EJUの成績は2年間有効であるため、早めに受験して高得点を確保しておくという戦略的なアプローチも取れます。

英語プログラムという新しい選択肢

近年、日本の大学で英語による学部プログラムが増加しており、これによりEJUの受験が必須ではなくなる場合もあります。例えば、山梨学院大学の国際リベラルアーツカレッジ(iCLA)のように、英語で学位を取得できるプログラムでは、日本語能力を全く問わずに入学申請が可能です。

これは、香港のインターナショナルスクールで英語教育を受けているお子さまにとって大きなメリットです。英語環境で培った学習能力を活かしながら、同時に日本の文化や社会を学ぶ機会も得られます。これらのプログラムでは、学位取得過程で日本語の単位取得科目も履修できるため、段階的に日本語能力を向上させることも可能です。

DSEからの多様な進学パスウェイ

香港域内での大学進学競争

香港には現在8つの政府助成大学があり、HKU、CUHK、HKUSTは世界ランキング上位50-100位に一貫してランクインしています。JUPAS(Joint University Programmes Admissions System)は、DSEまたはHKALE(香港高級程度会考)の結果を持つ学生が香港の大学に申請するための主要な経路として設計されています。

しかし、競争は非常に激しく、2022年には約13,000の公立大学の定員に対して17,269人のDSE合格者が競争する状況となっています。このような状況下で、多くの家庭が代替の進学先を模索しているのが現実です。

問題は競争の激しさだけではありません。2019年の社会運動以降、多くの経済的に余裕のある家庭が子どもを海外に送ることを選択しており、伝統的に名門とされる香港の学校でも入学者数の減少が見られています。しかし、これは他の生徒にとってはチャンスでもあります。万が一第一志望に合格できなかった場合でも、香港の優秀な大学への道が以前より開かれている状況とも言えます。

中国本土大学への進学制度

2012年のDSE導入により、「香港学生内地高等教育入学計画」(DSE入学制度)が設立され、学生はDSE試験結果に基づいて中国本土の大学学部プログラムに入学できるようになりました。最低入学基準は香港の大学と同じで、中国語と英語でレベル3以上、数学必修部分とリベラルスタディーズでレベル2以上(3-3-2-2)を達成する必要があります。

2017年度には3,500人以上の香港の学生が中国本土の大学に申請し、これはDSE受験者62,200人の約6%に相当します。年間約2,900人の新入生が中国本土の大学に入学しており、そのうち60%以上(約1,700人)が暨南大学と華僑大学に進学しています。

この制度の大きなメリットは、香港学生に対する優遇措置として、中国本土の学生と同額の学費が適用されることで、香港の大学と比較して大幅に安い費用で高等教育を受けられることです。万が一香港での第一志望大学に合格できなかった場合でも、質の高い教育を経済的な負担を抑えて受けられる選択肢があることは、家庭にとって安心材料となります。

欧米諸国への進学トレンド

香港の学生にとって、アメリカは依然として海外留学の最上位の選択肢となっています。高いGDP per capitaを持つ香港では、アメリカの高等教育水準と卒業後の就職機会の向上可能性が、アメリカを好ましい留学先にしています。2022年では、イギリスのBNO制度とポンド安(GBP1:HKD9.36)により、イギリスが香港の親や学生にとってさらに魅力的になると予想されています。

特に金融、法律、医学などの競争の激しいプログラムへの需要が高く、これらの分野でアメリカでの学習に対する強い需要があります。さらに、ヘルスケアと生命科学、ゲームデザイン、データサイエンス分野での需要も増加しています。

問題は海外進学の費用と準備の複雑さです。しかし、インターナショナルスクールでは経験豊富な進路指導カウンセラーが在籍しており、各国の大学申請システムに精通したサポートを提供します。また、学校のネットワークを活用して、卒業生や在校生の保護者からの実体験に基づくアドバイスを得ることも可能です。これにより、万全の準備をもって海外進学に臨むことができます。

イギリスの大学申請では、UCASシステムを通じて申請を行い、一度のサイクルで一回のみ申請が可能です。そのため、最初の申請で正確に手続きを行うことが極めて重要になります。しかし、インターナショナルスクールでは、こうした複雑な申請プロセスについても段階的な指導とサポートシステムが整備されているため、安心して取り組むことができます。

国際教育についてより深く理解したい方には、グローバル教育の理論と実践が参考になるでしょう。DSEと日本の大学受験システムは、それぞれ独自の特色と利点を持っています。香港のインターナショナルスクールで学ぶお子さまは、英語での学習経験を活かして様々な進路選択が可能です。重要なのは、各システムの特徴を理解し、お子さまの将来目標に合わせて適切な準備を行うことです。問題が起こることは避けられませんが、適切な情報と準備、そして学校のサポートシステムを活用することで、お子さまにとって最適な進路を見つけることができるでしょう。

英語を学習言語として使用できるお子さまは、既に世界中の多くの大学へのアクセス権を持っています。DSEか日本のEJUか、どちらの道を選択したとしても、その言語能力と国際的な視野は必ず将来の糧となることでしょう。

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