
本記事のテーマ
ECサイト運営のためのモール型ECランキング【楽天、ヤフーなどのB2C】
本記事で得られる知識
どの部分について費用や機能があるのかを体系的に理解し、モール別の違いを理解することができます。
記事の前提
本記事は B2CのECサイト運営を前提とした記事です。
1.モール型ネットショップの選び方
モール型に出店するにあたって、どの点をもって比較をしていくといいのかのポイントを解説していきます。
1-1.費用面
まず出店当初の敷居となるのは、出店することによる運用上の費用です。
モール上の費用というのは、出店時の手数料、月額の出店手数料や、注文時の支払い方法ごとに異なる決済手数料、販売したことに対して課金される販売手数料、そして各モールが儲けるポイント対する負担料などがあります。
モールによっては、有料のページ公開用のサーバースペースなど、様々です。
開店当初の資金力にもよりますが、個人事業主で始める方、資金なしで始める方にとっては、特に固定費名目の費用はかなり大きいといえるでしょう。
1-2. 利用者数
モール自体を利用しているモール利用者数も、かかる費用の上にたって重要な要素です。
単純に母数の数しかそのモールには潜在顧客がいないことになりますから、利用者の多いモールのほうが露出が増えた時の訴求力は極めて強いのです。
1-3. 出店の敷居
出店するにたって、費用がかかるモールがあり、更に基本的に審査があるのが普通です。審査についてはモールごとにその厳しい差がバラバラですので、この敷居の高さも実際に売りたくても売れない要素になるので、一つのポイントになります。
1-4. 運営面のユーザビリティ
ユーザビリティというのは、管理画面などの使い勝手の良さです。
主にバックヤード業務や運営・経営面における効率性が高いものかどうかを見分けます。
例えば、受注処理をするにあたっての注文情報についてのレポートの抽出のしやすさや、抽出後の使いやすいさを指しますし、出荷後の通知のしやすいさなどもユーザービリティです。
出荷用の送り状を注文情報から印刷するにあたって、運送会社側の送り状作成アプリと連携ができているだけでもユーザービリティは高いといえます。
1-5. フロント業務の自由制
フロント業務は、ページの見栄えは商品の見栄えといった、ユーザーの視覚や聴覚に結びつく部分の自由度の高さを指します。
商品ごとのページを自由に編集できればそれだけで自動度が高いことを意味します。
柔軟に細かく設定することで、店にあった作りを構築しやすくオリジナリティを出しやすい場合もあれば、項目だけ設定してそれ以外は既に既存のものに当てはめるだけという場合もあります。この場合は、ページ編集などの手間がある程度緩和されていますので、別の業務に時間を特価して業務効率を上がるという別のユーザビリティに繋がります。
2. 機能と操作性からみる比較
実際に有名なモールの比較をしてみます。
尚、本記事では国内で展開するモールで、B2Cに限定して比較してみたいと思います。
下記は、敷居の低さを比較したいため、最低費用をメインに記載します。
2-1. ヤフー
2-1-1. 費用
- 出店時 : 無料 (むしろ1円振り込まれる)
- 出店手数料 : 無料
- 販売手数料 : 無料
- 最低ポイント負担 : 1.5%以上
- 決済手数料 : 約5%(支払方法による)
2-1-2. 利用者数 :
2645万人 (※1)
2-1-3. 運命面のユーザービリティ :
レポートの抽出は操作がしやすいですし、注文画面の操作も扱いやすいです。
注文代金の確定は出荷のステータス完了時。
在庫更新や価格更新は、レポートはしやすいが1回で2万アイテムまで。
編集後は「反映」処理という手動処理が必要なので、タイムラグを感じる。
2-1-4. フロント業務の自由制
ただ、無料でも商品ページは十分なほど情報を入れ込める。
有料のトリプルを使わない場合は、トップページや特集ページなどの操作性にかなりの制限がかなりある。
2-1-5. 総合評価 :
入り口として行うには、無料で高機能。固定費はデフォルトでは全くかからないので(かかってもデザイン自由化のトリプル 3,240円(税込)/月ぐらい)、資金力に対して敷居が非常に低い。
利用者もかなりいるので、モール系といえばまずヤフーから始めるべきだと思う。ただ、ヤフーショッピングのリピート層は、会員の中でも比較的タイトルが高い層が大半を締めているので、リピート層への露出は最初は厳しい。
それでも、ECサイト特有の管理画面になれる意味でも、ヤフーの管理画面は他のモールと同じような構造をしている分、入り口としてはコスパも最適。
また、ヤフーの特徴として、次第で0.6%の手数料はかかるが、売上金の入金回数を最大6回まで増やすことができるので、入金サイクルを早くできる自由度は、最初の段階では非常にありがたい機能。
2-2. アマゾン
2-2-1. 費用
- 出店時 : 無料
- 出店手数料 : 無料(小口出品の場合)
- 販売手数料 : 100円 / 1注文 + (8%~45%)カテゴリーによるが多くが10%か15%。
- 最低ポイント負担 : なし
- 決済手数料 : 無料(飯場手数料に組み込まれてる感じ)
2-2-2. 利用者数 :
4079万人(※1)
2-2-3. 運用面のユーザビリティ
他のモールよりもくせがあるが、操作はしやすい。
レポートも一括抽出可能だが、他の一般的なモール違って、レポートの形式がタブ区切りテキストなのが、ちょっと癖を感じさせる。
2-2-4. フロント業務の自由制
ページデザインといった見栄えを編集する機能はストアフロント機能以外ない。このストアフロントもあまりユーザー層に受けていないので、ページデザインによるオリジナリティは一切出せない。
2-2-5. 総合評価 :
出店時の審査がほとんどないのが特徴だが、その後のアマゾン内の完全数値による顧客満足度指数(かなり高い)を維持する必要がある。下回ると容赦なくアカウント停止になるので、維持が難しい。納期などの数値は正確に守らないとあっという間に顧客満足度指数が悪くなるのも特徴。
ペイメント情報などのレポートは細かくダウンロード可能。
ヤフーの次に操作性が簡単で、既に出品されている商品情報ならば大体5,6項目だけの設定で即座に出品可能。
但し、上記の金額は小口出品の場合だが、大口出品という月額4,900円(税抜)/月を申し込まないと、アマゾン内にない新規商品の出品ができなかったり、管理画面をシステム上動かすMWS APIが使えないなどの、アマゾン独自の癖があるのも特徴)。
入金サイクルは二週間に一度の締め(更に実績によって変わる時もある)約5営業日後でなので、3週間程度での現金化はヤフーの次に早いが、登録にはクレジットカード登録が必須なのも特徴。
2-3. Wowma
2-3-1. 費用
- 出店時 : 10,000円
- 出店手数料 : 4,800円/月
- 販売手数料 : 2.0~6.5%(カテゴリーによる)
- 最低ポイント負担 : なし
- 決定手数料 : 5.7~4.7% (カテゴリーによる)
2-3-2. 利用者数 :
3800万人(※2)
2-3-3. 運用面のユーザビリティ
操作はしやすい。レポートも抽出可能で日本型モールの典型的な操作性である。
他のモールと異なる特徴としては、管理画面内で大きなイベントカレンダーがついており、バックヤード業務をするにあたって、おおよその受注増などを視覚的に確認することができる。
2-3-4. フロント業務の自由制
操作性としては普通。デザインもそこそこ使い勝手がいい。
2-3-5. 総合評価 :
月額の費用がアマゾンと同程度であり当初はユーザー層の少ななさが指摘されていたが、昨今はauユーザーをターゲットにした囲い込みを行っているため、3800万人が母数である点が大きい。
Wowmaの強みはauユーザーがもっているポイントの利用を促せる点だ。携帯電話会社のポイントは使える範囲があまりイメージできないので、解約するまで溜まっている印象があるが、この使いみちがwowmaとなる点が消費につながりやすい。
ただ、ポイントを目的にするとした場合には3,400円層の商品に集中しがちが点があるので、それ以外の購入層へのアプローチがこれから注目されるところ。
2-4. Qoo10
2-4-1. 費用
- 出店時 : 無料
- 出店手数料 : 無料
- 販売手数料 : 6~10%
- 最低ポイント : なし
- 決済手数料 : 約5%(支払方法による)
2-4-2. 利用者数 :
約970万人(2017公式発表)
2-4-3. 運用面のユーザビリティ
もともと韓国のサービスであるため、独自性の強い操作画面なのが特徴。
受注処理、商品情報変更とワンクッションあるというイメージのくせがあり、若干使いにくい点が難点。
また、経営・運営面でいうと、利用者層のほとんどが女性で、20~30代が比較的多いので、ターゲット層としてのは20、30代の女性をターゲットにした商品でないと威力がないイメージが強い。
2-4-4. フロント業務の自由制
商品登録についても、操作にくせがあり、カテゴリーの登録、商品名に至っても短縮名があったり、またキーワードの入力の仕方、登録後に一度登録審査のようなものもあるため、なにせワンクッション多いというイメージが強い。
2-4-5. 総合評価 :
全体的にワンクッション多い操作画面であり、ターゲット層も20,30代の女性が大半なので、商材次第というのが総合評価です。
モール側の運用面に一時期問題があると言われた時もあるが、現在はアメリカeBayに買収され、越境ECとして動いている面が強い。
2-5. 楽天
2-5-1. 費用
- 出店時 : 60,000円
- 出店手数料 : 19,500円/月(がんばれ!プランの場合)
- 販売手数料 : 3.5~7.0%
- 最低ポイント負担 : 1%以上
- 決済手数料 : 約6%(楽天ペイ使用時)
2-5-2. 利用者数 :
約4000万人(※)
2-5-3. 運用面のユーザビリティ
自由度が非常に高くオリジナリティを出すにあたってはかなり細かく設定できる点が強い。だが、それは逆に設定のめんどくささにも直結する。
運営・経営面からはアクセス解析やユーザーの動きを細かく確認できる一方、手数料の計算のしにくさがあったり、固定費名目が他のモールよりも圧倒的に高いので、自由度が極めて高い管理画面をどれだけ使いこなせるかという点が重要。
2-5-4. フロント業務の自由性
商品ページを細かく設定できる上に、出店さえしていればgoldという機能を使ってトップページや特集ページをftp操作によって、かなり自由に操作できる。
バックエンド系のweb言語は使用できないが、html, css, java scriptはかなり自由に使えるので、jqueryなどのライブラリを使い、自社サイトと同じようなフロント業務の柔軟性があるのが強い。
2-5-5. 総合評価 :
操作性や利用者の点は非常に魅力だが、出店時の敷居の高さが難点。今回示したもっとも安い部分の金額においても、使用できる容量が200メガなので、ページの作り込みや画像を多く登録するとするぐに上限を振り切る。
goldで一時的にしのげるにしろ、プランを変更するにも期間を待たないとおけないので、結果的に出店時から一般的なスタンダードで申し込みがち。
また、出店にあたっては法人であれば全部履歴事項証明書などのかなり細かく厳しい審査があるので、ある程度の大きさまで売上が拡大してkらの出店をおすすめする。
しかし、これは逆に、それだけ厳しい審査を通った店しか出店していないことになるので、その意味では楽天ユーザーからの信頼は高い。
昨今の累積違反点数制度により、より顧客品質の高い状況が求められているので、バックヤード業務の最適化も怠れない分、ユーザー層の期待値は高いが運用はきめ細かさが必要。
2-6. ポンパレモール
2-6-1. 費用
- 出店時 : 20000円
- 出店手数料 : 29800円/月(ベーシックプランの場合)
- 販売手数料 : 2.5%
- 最低ポイント負担 : 3%以上
- 決済手数料 : 2.9% + 1件15円(クレジットカード使用時)
2-6-2. 利用者数 :
800万
2-6-3. 運用面のユーザビリティ
運用面の操作性については、楽天と同じようイメージであるが、他のモールよりも安い広告で、より大きな訴求を狙える効果が大きい。
逆に大きな効果があるものが限られているため、その期間以外は集客に乏しいの経験値。
2-6-4. フロント業務の自由性
受注や在庫管理については、ヤフーよりは使い勝手がよく、楽天と同様。
2-6-5. 総合評価 :
DeNAがショッピングモールを始めるということで、大々的なキャンペーンにより始まったポンパレモールだが、思った以上にはユーザー数が伸びていないのが現状で、モール内での売上というのも、ポンパレ負担のキャンペーンによる価格による戦略で集中的に売れるというイメージが強い。
強みとしてはリクルートが展開する他のサービスとのポイントの共有があるので、ここをいかに訴求していくかが一つの鍵になる。
2-7. YAMADAモール
2-7-1. 費用
- 出店時 : 無料
- 出店手数料 : 10,000円(税抜)/月
- 販売手数料 : 8%(短期お試しプランの場合)
- 最低ポイント負担 : なし
- 決済手数料 : 月額固定費2000円/月, 1件15円, 金額の3.6%
2-7-2. 利用者数
30万人
2-7-3. 運用面のユーザビリティ
注文処理はQoo10よりくせがなく比較的操作しやすく、ヤフーのよりボタンを押してからの重さがない。
2-7-4. フロント業務の操作性
ヤマダモールのおもしろいところは、楽天の登録用のテンプレートが使用できるところ。
また、ヤマダモールページ内でも購買層の関係から、あまりデザインに突出して取り組まなくても、商品ページをきっちり作り込みすれば訴求しやすい点が操作しやすいもう一つの点。
2-7-5. 総合評価 :
ターゲット層は30万人と他のモールよりかなり少ないが、yamadaモールの30万人のほとんどがYamada電機の会員でありECの非利用者が大半ということで、他のモールと被っていないところが強い。
また、多くのユーザーがポイントを多く利用するために、このyamadaモールを利用するため、単価の低い商品が売れる傾向があるのが筆者の経験値。
全く違う層でということで、Qoo10同様に商品によっては爆発しやすい点が特徴。
※1 視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタル 2018年6月