ネットショップ開業 Amazon出品における価格自動設定のポイント

本記事で得られる知識

Amazonセラーセントラル内のデフォルト機能である「価格の自動設定」機能についての解説です。

記事の前提

個人事業主・零細企業がAmazonで商品を販売しようとしている、もしくは販売している方を想定しています。

ここに記載されたデータは、2020年10月20日時点です。

記事の信頼性

筆者はネットショップ運営に精通しています。詳しくはこちら「運営者の紹介

アマゾンの価格自動設定と動作の仕方について

楽天やヤフーといったモールとは大きく異なっている点として、1つのJAN(正確にはアマゾン固有の識別番号であるASIN(エイシン))の商品ページはアマゾン内に1ページしか存在しません。

1つの商品ページ内で多数の販売者が売ることにもなりますが、そのページの中の「出品者一覧」に表示されるのみとなっていますので、競合品の場合は、価格競争がとにかく早く起こるのがアマゾンの特徴です。

アマゾンの自動化でできること

「価格の自動設定」機能では、主に4つのルール設定によって、価格を自動的に変動させることができます。

以下全て「基準となる対象出品者の価格に対してどうするか」という設定をする点にあります。

1.競争力があるショッピングカートボックス

カートボックスを獲っている他の出品者をベンチマークにして、価格をどうするかを決めるのがこの設定になります。

同じ価格にしても、ベンチマークした価格より下の価格にルールを設定したとしても、カートが穫れるかどうかは、その商品の性質と、他の出品者の設定商品の性質、それからアマゾン本体の状態によって変動します。

この設定に適しているのは、

  • アマゾン本体が在庫していない
  • 出品者の多い(=競争がある)
  • 慣習的な上代固定がない(値崩れが一般的の商材)

です。

アマゾンが倉庫に在庫をもっていない、出品者だけの状態だと、

  1. 価格
  2. 在庫
  3. リードタイム
  4. プライムの有無
  5. ストア評価

この5項目について優位性を持てれば、カートを獲得できることになるためです。

2.競争力のある最低価格

出品者の中で一番安い価格をベンチマークにして、価格を合わせるか・下げるか・上げるかの設定になります。

最低価格だからといって、カートボックスを獲得できるわけではありませんが、少なくともユーザー視点から考えると「一番安い店から買いたい」という心理に対して設定するのに適していると言えます。

上記1とは対照的に「アマゾンが倉庫に在庫して売っている」商品の設定に適しています

アマゾンが直販している商品ページでは、自身のプラットフォームであるがゆえに、アマゾン自体がカートボックスの獲得する権限が極めて強いため、カートボックスの価格(アマゾン直販価格)に合わせたところで、カートが穫れません。

なので、このような商材の場合は、この最低価格に対して価格を決定するのが適しています(いくら下げれば穫れるのかは商品の性質やアマゾン直販の在庫の回転率次第です)。

3.他社サイトの価格

アマゾン内の他店舗の価格だけでなく、楽天・ヤフーといった他モールの出品者の価格や、ヨドバシ・セブンネットなど大手直販ECなどのどれかの価格をベンチマークとして、価格を決定するのがこのチョイスです。

アマゾンの仕様により、アマゾン外の競争力のあるネットショップの価格に、アマゾン内の全店舗が負けてしまっていると、アマゾンのAIが判断すると「カートボックスそのものが表示しない」仕様になっています。

たまにアマゾン内でネットサーフィンをしていると「出品者からお求め頂けます」と表示され、メインの購入ボタンがないページがたまにありますが、これに該当しています。

厳密にどの他社サイトかは明らかになっていませんが、楽天・ヤフーなどのモールや、アマゾンの点滴であるヨドバシカメラなどは、確実に対象といえます。

4.販売点数に基づく

こちらは他店舗の出品価格ではなく、一定期間の間に在庫がどれだけ減ったらいくら価格をどうするのかという設定の仕方になります。

期間は、「1日、7日、10日、14日、30日」のいずれかを選択します。

14日内に数量が15個以下になったら 価格を5%下げるといった具合です。

これは、出品者が「土日祝日や年末年始などの休業日の時に価格を調整したい」「一定の期間が経過したら在庫処分に走りたい」という場合などに有効です。

競争の中での価格調整ではなく、実績に対しての価格調整となるため、オリジナル商品にも向いていることになります。

ルールの設定

「価格の自動化」は、主に以下の3つのステップで設定していきます。

価格変動についてはルールを作って、対応する商品をそこに当てはめる流れになります。

1.ルールの設定

上記に示した4種類のうち1つを選び、それに基づいて細かくルール設定します。

選択すると、○円低く設定するのか・高く設定するのか、最低価格かカートボックス獲得の価格に合わせるのか、といったぐあいで細かく設定することができます。

その他設定できるルールとしては、

  • アマゾン本体の価格だけは対象外にするか(他の出品者の価格だけ追従するか)
  • 通常の在庫管理ページ・価格管理ページで、手動で価格を変更すると、価格の自動設定がOFFになる

といった項目も設定可能です。

他サイトの競合価格を追従するかといったチェックボックスも用意されているので、上記4種類のうちいずれかを選択することになりますが、デフォルトで選んだ内容に合うように予めセットされているだけで、自由にカスタマイズ設定することができます。

2.価格の自動変動を適用させる商品の「上限価格」と「下限価格」を設定する

ルールの設定は「ルールというグループ」を設定しているに過ぎません。

ここでそのルールを適用させる商品の、自動的に変動させるための「下限価格」と「上限価格」を設定します。

これはどちらも設定しなければいけません。

下限価格を設定しなければ、0円になるまで下に価格調整がされますし、上限価格がなければ天文学的な数字まで跳ね上がれてしまうこともあります。

注意して頂きたいのは、手動で下限価格を下回ったり、上回ったりする金額で設定してしまうと、販売の状態が一旦停止され、商品ページで販売されない状態になります。

これはアマゾンビジネスをしている出品者の、数量ごとの割引を設定している場合も、上限・下限に反する価格を検知すると、販売が一旦停止になります。

3.上限・下限価格を設定した商品を、「ルール」と紐付けする

1.と2.が設定できたら、最後に1.で設定したルールと、自動化したい商品を紐付けして自動化開始です。

突き詰めると気づく、価格自動化でできないこと

ここまでの説明で薄々気づいた方もいると思いますが、価格の自動設定はしますが「カートボックスを獲りにいくわけではない」のです。

あくまで、カートを獲っている価格にベンチマークして、その価格に対して自分はどうするかでしかありません。

アマゾンが直販していない商品であれば、他の出品者の価格やリードタイム状況によっては、おおよそカートを穫れる調整位置というのは計算できます。

しかし、アマゾン本体がカートを獲っている商品となると、他の出品者とは比べ物にならないぐらい価格を下げる必要があり、またAIが直販の在庫の在庫処分に走ってる場合にはいくら下げてもカートを取れなかったします。

また、価格の調整はされても、ポイントの調整は送料オプションを、価格に応じて変更するということもできないので、自動的に価格を規定の動きにすることはできるけど、売れる価格に自動調整されるわけではない点は気をつけないければいけません。

アマゾンカート取得する価格設定機能がほしい

アマゾンの価格を自動調するには、有料のサービスを利用するか、自前で構築するしかありません。

より細かい設定が可能な外部サービスをご紹介します。

マカド

在庫件数は10万件までとなっていますが、かなり細かく自動化の設定が可能です。

30日間無料期間がありますが、月額4980円のサブスク型です。

主な内容は以下のとおりです。

マカドの価格自動化関連の機能の特徴
  • 他社の急激な値下げを追わない設定(1回の値下げ可能率を設定)
  • 赤字チェック機能
  • アマゾン直販価格だけ無視する機能
  • ベンチマークする際に、競合価格のポイントを加味して計算・しないで計算する機能
  • 在庫更新からの日数表示機能(売れていない商品が分かる)
  • 価格自動化可能な時間帯の設定
  • 他社出品者がいなくなった場合に自動的に値上げする
  • 価格改定時に競合価格と同じポイントにした上で、販売価格を調整する機能
  • FBA出品者、マケプレプライム設定出品者に対して価格自動化のセットすることが可能

これが価格自動化に関連する機能となります。

 

実際はコレ以外にも在庫自動更新機能だったり、csv一括登録など、アマゾンのバックヤード業務に役立つ機能が満載です。

プライスター

せどり用のツールとして生まれたサービスで、Amazon.co.jp用とAmazon.com用と2種類のタイプがあります。

月額5280円(税込)のサブスク型で、1ヶ月経過した時点での月の月末まで無料となっています。

プライスターの機能は価格自動化だけではなく、出品作業、アイテム管理、注文管理、売上管理と多岐にわたっており、ブラウザー上だけではなくスマホでもアプリで使用可能です。

価格自動化に関する主な特徴が以下のとおりです。

プライスターの価格自動化関連の機能の特徴
  • 他社の急激な値下げを追わない設定(1回の値下げ可能率を設定)
  • アマゾン直販価格だけ無視する機能
  • ベンチマークする際に、競合価格のポイントを加味して計算・しないで計算する機能
  • 他社出品者がいなくなった場合に自動的に値上げする
  • 価格改定時に競合価格と同じポイントにした上で、販売価格を調整する機能
  • これが価格自動化に関連する機能となります。

これが価格自動化に関連する機能となります。

MWS APIを使用して自前で構築する

筆者はPHPエンジニアであるため、長年MWS APIを使用した開発を行ってきました。

時間を確保するために月額5000円のサービスを費やすのもいいですが、安くはありませんので、この金額の利益を十分似確保するまでは、効果を見るのが厳しいと思います。

MWS APIをうまく活用すれば、価格自動化のルールを完全に自分自身基準に当てはめて構築することが可能です。

API接続方法や、バックエンド系のコーディングの知識が必要になってきますが、こちらが一番安く抑えられる方法になります。

専門的な内容になりますが、予めsku情報をストックする管理画面を構築した上で、MWS APIのレポートAPIから出品レポートを取得し、そこから順番にスクレーピングと、GetLowestOfferListingsForASINで価格を取得させ、フィードapiで価格更新するという具合です。

筆者はコンサルだけでなくシステム開発も行っていますが、会社員の立場で自社のECに携わっている時には、自ら構築することで高速化していました。

価格追従は非常にデリケートな設定とそれなりの費用が必要

いかがだったでしょうか?

別のページでも解説していますが、アマゾン内競合する商品をあいのり出品して販売すると、カートボックスを獲得することが必勝パターンのため、必然的に価格競争に走っていきます。

しかし、デフォルトの自動化機能にはないため、あくまで月に約5000円の月額金額分の利益を回収できる利益が立っていることが前提となってきます。

競合品の出品自体がアマゾンには向いていないというそもそも論はありますが、競合品で価格を競る場合にはある程度の販売力と財務力がついた時点で、起爆剤の意味で外部サービスを利用することをおすすめします。