
本記事で得られる知識
配送会社の運送サービスについての解説です。0からネットショップを開業するにあたって、どのような運送サービスがあり、どのような特徴があるのかについて、実際の経験を含めて解説します。
記事の前提
個人事業主・零細企業が0ベースでネットショップを開業することを想定しています。
ここに記載されたデータは、2020年10月20日時点です。
記事の信頼性
筆者はネットショップ運営に精通しています。詳しくはこちら「運営者の紹介」
商材に合った運送会社のサービスを探す
送料を設定するためには、運送会社のサービスを知る必要があります。
初心者がネットショップを行う上で、最初の段階から利用してもいいと思えるのは、主に以下の3社のサービスです。
運送会社は、出荷する一日の量によって、運送表の大幅な割引をしてもらうことができますが、最初はデフォルトの運賃に対して、持ち込み割など各種運送会社提供している割引のサービスをうまく活用して、運賃を抑えていくことになります。
最初から、一定量の出荷量があると断言できる場合は、一度営業所の「営業担当」の方に連絡をしてみるのもいいでしょう。
ここでは、個人が0の出荷量から始める前提で解説していきます。
日本郵便
日本郵便は本局や簡易郵便局を含めると、全国至るところに存在しますので、初期段階での持ち込みの際に非常に便利です。
クリックポスト = 軽量・小物サイズの商品向け(開業当初最安値)
- 送料体系 : 全国一律
- 実績に関係なく1梱包198円(税込)
- ポスト投函によるお届け(対面ではない)
- 代引不可、着払い不可(ポスト投函のため)
- 時間指定不可(ポスト投函のため)
- 追跡番号付き
- 長さ14cm〜34cm(パッケージの外寸)、幅9cm〜25cm(パッケージの外寸)、厚さ3cm以内(パッケージの外寸)
- 重さ(1kg以内)
- 送り状を発行する直前にクレジットorAmazonPay決済
- 一度引き落としになるが、印刷まで行かなければ数日以内に返金
- ガス系、電池系は不可
- 専用のネット管理画面で操作する
- 送り状の印刷は一般プリンターを使い、A4用紙サイズのpdfファイルを出力して印刷する
初心者でも実績なしで1梱包198円(税込)で発送可能な点が大きな特徴です。対応している郵便ポストであれば、深夜や早朝関係なく24時間投函できますので便利です。
クリックポスト専用の会員登録が必要で、YahooのIDが必要であり、支払いはYahooウォレットを通じてのクレジット払いか、Amazon Payのみとなります。
更に印刷も自分のプリンターで印刷し、中途半端なサイズで出てきますので、ハサミでの調整などは必要ですが、それらの手間を入れても、この価格は大きいです。
最大40件までならcsvを使って発送情報をアップロードすることも可能です。
外寸ではありますが、厚さが3cmまでとなっており、小物に向いている上に、速達に近い速さも魅力、そして問い合わせ番号も追跡可能なため、アマゾン発送にも向いています。
ただし、ポスト投函である点、食べ物や販売金額が高いもの(筆者の感覚では3500円あたりまで)は不向きです。
- 小物系やおおよそ3500円以下といった安価な商品向け
- 高額商品の発送には向かない
- 生鮮食品や冷蔵、冷凍品は不可(常温発送のため)
料金・サービス内容 : https://clickpost.jp/
ゆうパック = 重量の重い荷物向け(翌日お届け圏内向け)
- 料金体系 : 3辺合計のサイズ別・お届け先別で料金が変化
- 重さは25kg以内
- 縦・横・奥行き合計(3辺)が最大170cm以内
- スマホアプリを使って送り状を出すと、前月までの1年間で10個以上の発送実績で、以後は10%OFFになる
- 追跡番号付き
- 代引可能(代引手数料は265円(税込))
- 元払い、着払い
- 時間指定可能
- ガス系は不可
- パソコンにインストールする「ゆうプリR」というソフトを使って、データを取り込み送り状を印刷する。
- 送り状は日本運輸指定のものだが、市販のプリンターでも印刷可能
郵便局の都道府県別・3サイズ別に設定されている配送サービスです。
スマホのアプリを使って登録・発行をすると、前月までの1年間で10個以上出荷した後から10%OFFになるなど割引の制度もあります(ただし、これはゆうプリRとは互換性なしです)。
特徴としては重さは25kg以内の規定だけで、サイズは縦・横・奥行きの3サイズ合計で170cm以内のものを出荷してくれます。
重量が「25kg内」の魅力は何かというと、ヤマト運輸や佐川急便の場合は、3辺サイズと重量それぞれで範囲が存在します。
例えば、3辺60cm以内か2kg以内であれば運賃A、3辺80cm以内か5kg以内で運賃Bといった内容です。
この場合は、3サイズが50cmだったとしても、重さが3kgなら重さで2kg超えの5kg以内のため、運賃はBが適用されます。
サイズや重量が小さければ安いわけですが、運賃Aにするためには3辺60cm以内且つ重量2kg以内の2つを同時に満たす必要があります。
その点、ゆうパックは重さは25kg以内であればいいので、3辺60cm以内なら仮に重さが10kgあっても、25kgあっても3辺サイズ60cmの値段でいいことになります。
したがって、重量のある常温タイプの農産物や加工品に向いていることになります。
- クリックポストに入らない商品
- 対面のため、商品金額に関係なく出荷に向いている
- 重量によって料金変動がないので、常温の農産物、機材、機械などの重量物向け
- 料金追加で冷蔵・冷凍可能
https://www.post.japanpost.jp/cgi-simulator/youpack.php
料金体系 : https://www.post.japanpost.jp/service/you_pack/charge/ichiran.html
大和運輸
営業所の数も多く、全国一律のネコポスが使えるということで、ネットショップでは定番の運送会社です。
2018年頃からクラウドベースで提供しているB2クラウドもかなり使い勝手がよく、重宝している個人事業主や企業が多いのも特徴です。
ネコポス = 軽量・小物・速達向け
- 送料体系 : 全国一律
- 個人事業主
- 1梱包385円(税込)。実績によっては値下げ交渉が可能。
- ポスト投函によるお届け(対面ではない)
- 代引不可、着払い不可(ポスト投函のため)
- 時間指定不可(ポスト投函のため)
- 翌日着のエリアが広いため、速達扱いと同じ。
- 追跡番号付き
- 長さ23cm〜31.2cm(パッケージの外寸)、幅11.5cm〜22.8cm(パッケージの外寸)、厚さ2.5cm以内(パッケージの外寸)
- 重さ(1kg以内)
- B2クラウドを通して送り状を発行し印刷する(送り状種別コードだけの違いで他の宅急便と同じ取込・発行・出力方法のため、手間がかからない)
- 送り状は大和運輸指定のものだが、市販のプリンターでも印刷可能
- ガス系、電池系は不可
全国送料一律のサービスで、実績や出荷予定量なしのデフォルト送料は385円(税込)です。
個人事業主・企業向けのサービスで、出荷する確定量が多ければ多いほど割引してくれるため、取引量が増えれば増えるほど魅力のあるサービスです。
また、距離にもよりますがほぼ速達扱いで、追跡可能、ポスト投函によるお届け、そして厚さも2.5cm以内です。
料金・サービス内容 : https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/business/send/services/nekoposu/
- 小物系やおおよそ3500円以下といった安価な商品向け
- 生鮮食品や冷蔵、冷凍品は不可(常温発送のため)
- 電池、ガス系(アウトドア)は不可
宅急便コンパクト = 軽量・小型向け(開業当初は料金割安)
- 送料体系 : エリア別
- 個人事業主・零細企業向け
- 実績なしの場合でも、関東から関西出荷の場合、1梱包660円(税込) + 専用箱(70円(税込))。実績によっては値下げ交渉が可能。
- 対面によるお届け
- 代引可能、着払は不可(通常の宅急便となる)
- 時間指定可能
- 追跡番号付き
- 2種類の専用箱におさめて出荷する必要あり(2種類とも1つあたり70円(税込)で営業所にて購入可能)
- 1つ目の専用箱 : 宅急便コンパクト薄型専用BOX : 24.8cm×34cmだが、一定の厚みまで収納可能(厚みに制限はないので収まればいい)。
- 2つ目の専用箱 : 宅急便コンパクト薄型専用BOX : 20cm×25cm×5cm(外寸)。
- B2クラウドを通して送り状を発行し印刷する(送り状種別コードだけの違いで、ネコポスや宅急便と同じ取込・発行・出力方法のため、手間がかからない)
- 送り状は大和運輸指定のものだが、市販のプリンターでも印刷可能
- ガス系、電池系は不可
宅急便コンパクトは宅急便ではありますが、2種類の専用の箱を使用することで、通常の宅急便よりかなり割安です。
宅急便の運賃自体が確定出荷数による交渉で値引きしてくれることが多いため、ネット通販開業初期のそもそも出荷量自体が少ない時にメリットがあります。
また、出荷量が増えて宅急便運賃の割引が始まった後でも、宅急便コンパクトに収まる商品の場合、遠隔地への発送については宅急便と比較すると宅急便コンパクトの方が安いことが多く、初期はコンパクトを多用し、ある程度出荷量が増えてきたら、近場への出荷は宅急便、遠隔地発送は宅急便コンパクトと、場合分けして使用すると、運賃を抑えることが可能です。
料金体系 : https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/business/send/services/compact/
- 全国一律料金のネコポスやクリックポストに収まらないが、専用箱に収まる小型で高単価のもの
- 対面のため、商品金額に関係なく出荷に向いている
- 生鮮食品や冷蔵、冷凍品は不可(常温発送のため)
- 電池、ガス系(アウトドア)は不可
宅急便 = 翌日圏内の距離への配送に向いている
- 送料体系 : エリア別
- 個人事業主・零細企業向け
- 実績なしの場合でも、関東から関西出荷の場合、1梱包660円(税込) + 専用箱(70円(税込))。実績によっては値下げ交渉が可能。
- 対面によるお届け
- 代引可能、着払は不可(通常の宅急便となる)
- 時間指定可能
- 追跡番号付き
- 2種類の専用箱におさめて出荷する必要あり(2種類とも1つあたり70円(税込)で営業所にて購入可能)
- 1つ目の専用箱 : 宅急便コンパクト薄型専用BOX : 24.8cm×34cmだが、ある程度の幅まで収納可能。
- 2つ目の専用箱 : 宅急便コンパクト薄型専用BOX : 20cm×25cm×5cm。
- B2クラウドを通して送り状を発行し印刷する(送り状種別コードだけの違いで、ネコポスや宅急便と同じ取込・発行・出力方法のため、手間がかからない)
- 送り状は大和運輸指定のものだが、市販のプリンターでも印刷可能
- ガス系、電池系は不可
3辺サイズが60~160cmで、ネコポス・宅急便コンパクトに収まらないものは、全て宅急便で出荷します。
出荷量の実績や見積もりが出せなくても、キャッシュレス決済、持ち込み時に割引になるなどいくつか割引の制度もあります。
こちらは個人でも出荷できますので、別途登録がいらず、スマホを使ってQR読み込みを使えば、持ち込み時の送り状も非常に簡単に行うことができます。
出荷量がある程度増えてくると、値段設定の交渉をすることもできます。
ネコポス・宅急便コンパクトに収まらないもので、3辺サイズ160cm以内で且つ25kg以内の荷物を運んでくれます。
料金体系 : https://www.kuronekoyamato.co.jp/ytc/business/send/services/takkyubin/
- 160cm以内の3辺サイズ以内の荷物で出荷可能
- ネコポス、宅急便コンパクトから漏れた商品は全てこちらに該当
- 料金追加で生鮮食品や冷蔵、冷凍品の発送も可能
- 電池、ガス系は不可
佐川急便
飛脚宅配便 = 遠隔地割安・大型に向いている
- 送料体系 : エリア別
- 個人事業主・企業向け
- 対面によるお届け
- 代引可能、着払は不可(通常の宅急便となる)
- 時間指定可能
- 追跡番号付
- e秘伝IIを通して送り状を発行し印刷する(送り状種別コードだけの違いで、ネコポスや宅急便と同じ取込・発行・出力方法のため、手間がかからない)
- 専用の送り状とプリンターが必要
- ガス系、電池系も可能
3辺サイズ60cm〜260cm以内で、50kg以内の荷物を配送可能なのが、佐川急便の宅配便です。
大和運輸と比較すると、対応してくれるサイズ・重量が大きいのが特徴です。
小さいサイズの商品は他社と比較すると割高なイメージがありますが、80cmを超える商品になってくると、大きければ大きいほど割安で、お届け先が遠隔地になればなるほどお得なのが佐川急便になります。
料金体系 : https://www.sagawa-exp.co.jp/send/fare/list/sagawa_faretable/
- 大型・遠隔のお届け先向き
- 全般発送
- 小物系だと割高
- 電池、ガス系(アウトドア)も取り扱い可能おすすめできないサービス
ネット通販に不向きの運送サービス
筆者の経験を含んだ上でのお勧めしない運送会社のサービスをご紹介します。
日本郵便 – 定形郵便物、定形外郵便物
切手代を想像すると非常に安いことに気づくと思いますが、残念ながら商品を発送するサービスとしては、ネット通販には合っていません。
一番大きい理由は「追跡番号がない」点です。更に紛失時の保証もありませんので、お客様目線で考えた場合に品質が高いサービスとは言えません。
また、アマゾンの場合は追跡可能率も顧客満足度に影響しますので、納品書や領収書を商品とは別のタイミングで送るなど以外では使用しないほうがいいです。
大和運輸 – DM便
定形郵便物、定形外郵便物と同様に、大和運輸より「商品の発送は不可」となったため、利用できません。
問い合わせ番号付きで安価なので、もったいないと考えがちですが、隠れて利用したとしても、お互いが心地いい取引の中で行うべきで、そもそも利用はお勧めしません。
日本郵便 – レターパックライト、レターパック
問い合わせ番号付き安価で、更にコンビニでも出荷可能ということで、かなり利便性が高いですが、この2つはどちらかというとCtoC向け(フリマ、オークションなどの個人間)です。
業者がレターパックを使うというのは、あまりいい印象がないので、あまりおすすめできません。