
本記事で得られる知識
アマゾンでの出店方法と注意点について特徴、メリット、デメリットを解説します。
記事は2020年10月19日時点でのデータを元に掲載しています。
記事の前提
個人事業主・零細企業がアマゾンで商品を出品・販売し、自社出荷を想定しています。
記事の信頼性
筆者はネットショップ運営に精通しています。詳しくはこちら「運営者の紹介」
アマゾンでの開業の仕方とは
アマゾンマーケットプレイスで販売するにあたっての特徴は別の記事で解説します。
どんな手数料でいくらかかるのか
アマゾンで商品を販売する場合は、小口出品と大口出品の2種類の販売方法があり、それぞれでかかる手数料や性質、戦略が変わります。
初期費用
小口は無料、大口の場合は4900円(税抜)の月額費用を支払うことで販売可能になりますので、実質的に初期費用とみることになります。
月額費用(費用) – 大口だけ必ず発生
無料
4900円(税抜)/月
記載ページ : https://services.amazon.co.jp/services/sell-on-amazon/fee.html
販売手数料(費用) – 大口・小口共に発生
小口出品と大口出品で大きく異なります。
- 基本成約料 : 100円(税抜)
- 販売手数料 : (販売価格(税込)+受取送料(税込))の8%〜45%
- 基本成約料 : なし
- 販売手数料 : (販売価格(税込)+受取送料(税込))の8%〜45%
基本成約料は小口出品登録時のみ発生しますが、こちらは注文数量に対して100円(税抜)/個なので変動費です。売れた商品の数ごとに発生します。
販売手数料は、カテゴリー別に料率は異なりますが、税込の販売価格+税込の受取送料金額の合計に対して発生する変動費となります。
アマゾン内の料率と費用の額は全て「税抜」なので注意が必要です。こちらは受けた注文ごとで計算しますが、カテゴリー違いの商品を1度に購入された場合は、受取送料の部分は販売価格の按分で計算します。
各カテゴリー手数料率はこちらから確認できます。
販売手数料参照 : https://sellercentral.amazon.co.jp/gp/help/external/G200336920
例 : 「産業・研究開発用品」カテゴリーの商品:1200円(税抜) + 受取送料200円(税抜)の商品が1点売れた場合に、出品者(お店側)がアマゾンに支払い手数料額の計算は、
((¥1200(税抜) + ¥200(税抜)) * 1.1) × (15%(税抜) × 1.1) = 1540円(税込) × 16.5%(税込) = 254円(税込)
となります。1.1というのは税込金額にする10%上乗せ分で、15%は「産業開発商品カテゴリー」の場合の手数料率になります。同じく税抜として表示されているので、税込みにして計算する必要があります。
JANコード発行費用
後述しますが、アマゾンの商品データベースにない商品を登録する場合は、JANコードが必須になります(この場合の商品登録が可能なのは大口出品のみです)。
JANコードは一般財団法人流通システム開発センターが発行しており、3年ごとの更新で年商に応じて16,500円〜264,000円が3年毎に発生します。アマゾンに支払う費用ではないですが、商品を販売する際には必須になります。
GS1 JAPAN JAN (下部料金表参照) : https://www.dsri.jp/jan/jan_apply.html
アマゾン出店手続きで事前に必要なもの
クレジットカード・デビットカード(一部不可)
出店登録の際に必要です。
アマゾンでは、売れた商品の売上合計と、出品者がアマゾンに支払う手数料を比較して、支払のほうが大きい場合は、クレジットカード・デビットカードから引き落とされるようになっています。
入金用の銀行振込先
アマゾンに支払う経費より、売上の方が多い場合は入金される振込先の登録が必要です。
特定商取引法必要な項目情報
ネットで商品を売る以上はここも必要になってきます。
代表者名、所在地、電話番号は必須項目となります。
営業許可証やエビデンスなど
商品のカテゴリーによっては、営業許可証が必要だったり、医薬品や宝石などは商品ごとに審査があったりしますので、ここもエビデンスとしての証明書などの準備が必要です。
商品の出品作業をする際に、審査や提出物が必要な場合には「制限付き」という名目で、必要なエビデンス情報が出てきますので、出店してからでも確認することができます。
JANコード(オリジナル商品(輸入品)の場合)
アマゾン内に登録されている膨大な商品情報データベース(アマゾンカタログ)の中にない商品を、新規に登録する際にはJANコードが必ず必要になります。
JANコードは、一般財団法人流通システム開発センター(GS1 JAPAN)が発行している13桁の管理コードであり、アマゾン内のJANコードはGS1 JAPANのデータベースと紐付いていて、JANのメーカーコードが一致していない場合にもエラーとなるなど、セキュリティの度合いが非常に高いです。
GS1 JAPAN JAN : https://www.dsri.jp/jan/
開店準備・商品出品まで小口、そこから大口へ
小口出店から大口出店へのアップグレードが可能なので、最初は小口出品で登録し、開店準備から商品の出品作業の手前まで進んでから、大口出品することをお勧めします。
アマゾン公式サイト内では、月に49個以上の商品が売れたら大口出品がいいと書いていますが、後述するアマゾンのカタログ内にデータの商品を登録するためには、大口出品が必要です。
また、露出ができなければ販売に繋がりませんので、月額費用を先行投資として大口出品に切り替える必要があります。
アマゾンに向いているのはオリジナル商材(メリットとデメリット)
オリジナル商材(=競合品(NB品)は価格競争になりやすい)
他の自社ECサイトやモール系ECと違って、アマゾンは原則1つの商品に対して、販売している出品者(セラー)の一覧ページと、商品紹介ページの2ページしかありません。
商品が購入される最も典型的なパターンというのは、商品詳細ページにある「○○が販売してます」と表記される「カートボックス」と呼ばれる部分を確保した時になり、この基準は
- プライム設定している(アマゾン倉庫からの委託出荷のFBAを利用するか、顧客満足度指数を高めて自社出荷でもマケプレお急ぎ便対応にするか)
- 販売価格(商品価格+受取送料-アマゾンポイントの金額で安い店舗が優先)
- リードタイム(注文から出荷までの日数が短いものが優先)
- ストア評価(1〜3が同じものだった時に、評価数が高い店舗)
です。
この4つを満たすことで、カートを取りやすくなりますので、同じ商品を複数の店舗で販売すればするほど、出品者同士では最終的に価格競争になります。
またアマゾンではアマゾン自体が商品を仕入れ自社倉庫発送もしています(リテール部門)。アマゾン本体が在庫している商品は、それだけで他よりも圧倒的にカート獲得率の権限が高いです。まず太刀打ちできないと見るのが自然です。
そうなれば、注文数が増えて出荷量が増えても、利益率が悪くなるだけです。また、アマゾンは「あいのり出品」と呼ばれて、誰でも同じ商品であれば、便乗して販売することができる点ので、オリジナルのJANでのプライベートブランド商品が向いていると言えます。
競合品が向いていない理由:「あいのり出品」の存在
アマゾンでは、商品アイテム1つごとに1つの商品ページしかなく、各販売者はリスト化されて、価格順に表示されるのみとなっています。
多くの出品者が誰でも商品を便乗するように販売することができます。
そうなると商品ページにあるカートボックスは取り合いになります。在庫あり・プライム化・一番安い価格という3つの手法だけで、価格競争になりがちで、旨味がありません。
競合品が向いていない理由:アマゾン自体が販売している
他のモール系ECと大きく違うところは、アマゾン自体が商品を仕入れて販売している点です(アマゾンリテール)。
アマゾン自体が在庫している商品は、他の通常の出品者に比べて、圧倒的に「カートボックスの維持力が強い」特徴があります。一定期間アマゾンが在庫している商品がアマゾン内規定期間内に売れない場合は、急激のその力を強めて在庫処分に走ったりと、言い方は悪いですがやりたい放題の状態です。
また、これは筆者の経験則を含んでいますが、その時は在庫をしていなくても、売れる商品については、翌年の同じ時期に本体が売り始めたりと、結局はアマゾンに便乗して売っている以上は、このようなアマゾン勝ちになりやすい構造になっていることは理解しないといけません。
オリジナルブランド商品で最も気をつけるべきこと:中国国内出品者の存在
アマゾンでは、外国の販売者も発送元を海外のまま、アマゾンジャパンで商品を売ることができます。
2018年頃から起きている状況として、中国国内の販売者がアマゾンジャパン内で販売力を増している点です。
手法としては、明らかに日本国内の市場価格より安い金額で、そこそこの品質の商品を、中国からアマゾンジャパンの倉庫にあずけて、FBAとして販売するというものです。
日本国内のメーカーの商品も、そこそこの品質の上に、価格が全く勝てない状態のものかなり多く、そうなるとユーザー視点から見ると商品評価もあがり、するとランクが上昇、結果的に露出も増えて、好回転していくわけです。
また、商品によっては高評価をもらうために、商品の中に高評価をすると別のアイテムを無料プレゼントしたりと、規約違反なことも平気で行っていますが、売れる要素である高評価がたまることにより、全ての中国国内出品者がそうではありませんが、上位表示が比較的に容易になり、起爆剤的に売れているのが現状です。
聞くところによると、中国国内のメーカーは原価レベルの価格で販売しているというので驚きです。なぜこれで中国国内の販売者が得するのかというと、日本でいう消費税にあたる「増値税」の存在です。
海外に出荷をすると、消費税の還付のような意味あいで、実質的に中国政府から増値税によるお金が中国国内出品者に入ってくる構造のため、日本国内の販売者が価格で全く太刀打ちできないという状況です。
アマゾンで売るための戦略
基本的な流れですが、商品露出→販売実績→高評価の蓄積→ランク上位の順に狙っていきます。
これができると、個人でも大手の商品を超えて販売する可能性を秘めています。
商品詳細コンテンツにより魅力を強化する
アマゾンのルールで画像には文字を入れてはいけないことになっているため、商品ページに記載できる内容に限りはあるので、それだけだと商品の魅力を十分に伝えることができません。
そこで重要になってくるのが「商品詳細コンテンツ」です。これは内容の掲載には審査が必要ですが、自社ECやモール系ECに近いかたちで、自由に画像と説明を乗せることができるため、強力な訴求力アップのためのツールとなっています。
また、JAN違い商品でも同じカテゴリー内で、競争することになり、その中でいかに商品の魅力で「買いたい」と思ってもらえるのかが重要です。この方法については非常に奥の深いセールスライティングの概念のためここでは割愛します。
ブランド登録
アマゾン内では、商標登録データと連携した「ブランド登録」というものが存在します。この登録が完了すると、自社のブランドについて専用のページを作成することができるようになります。
すると、各商品ページの商品名の下にある「ブランド名」をクリックすると、このページに飛ぶようになっていて、自社ブランドのリンクをクリックしてもらうことで、他の自社ブランド商品の露出が簡単になりますので、これも効果的です。
何億とある商品アイテムの中でいかに露出させるか(スポンサードプロダクトなど)
アマゾン内だけでも何億もの商品が存在しており、その中から多く見られるトップページやカテゴリーページの上位、検索結果の上位に表示させるのは簡単なことではないです。
しかし売上をあげるにも、まずはいかに表示させてユーザーに視認してもらうかが重要ですので、別途費用は発生しますが、1日あたりの予算を自由に決められる、アマゾンの検索結果の上下に表示させるスポンサードプロダクトなどを行ってアマゾン内での露出を増やすのが一番効果的な着火方法になります。
他媒体のSNSや自社サイトからの流入させる
現在では、SNSマーケティングやコンテンツマーケティングでは主流となりつつありますが、そもそもアマゾン内での施策を諦め、単純にSNSを利用してファンを作り、商品を告知して販売するのも戦略です。
この戦略で行うとアマゾンだけでなく、他の販売サイトでも着火することができるため非常に効果的です。
対応が全て指数化され、高い顧客満足度指数を維持する必要がある
アマゾンは「地球一カスタマーのことを考えたサービス」を提供しています。これは逆に言い方をすると「出品者にはとてつもなく高い品質が要求される」ということを意味します。
設定した出荷日に出荷していなかったり、ユーザーからの評価が低かったり、出品者都合のキャンセルが多かったりすると、あっという間にアカウント停止になります。
指数は常時、管理画面である「セラーセントラル」の中で確認できるので、毎日確認しながら高い品質を維持しながら運営する必要があります。
マケプレお急ぎ便対応
顧客満足度を高めていくと、マケプレお急ぎ便の資格を得ることができるようになります。この資格を得るためには、
- 出荷前キャンセル率
- 出荷した商品の追跡可能率
- 出荷遅延率
などを高く維持する必要がある代わりに、カートボックスの獲得の力が大幅に強まり、販売力を大幅に強化することができます。
その分、定休日設定していない日は、その日の14時までの注文はその日に出荷しなければいけなかったり、お問い合わせ番号が追跡可能な運送便での出荷が必要だったりと、品質面も重要視され、店舗としての評価が高くなりやすくなります。
出荷後も各運送会社の問い合わせ番号データベースと紐付いて、商品の現在位置をオンタイムでチェックされています。
価格競争を避け、露出を増やし、高評価を得る
いかがだったでしょうか。
アマゾン内ではできる内容が少ない分、少ないできることを徹底的に訴求し続けることが必要になってきます。
顧客満足度指数は非常に厳しいものではありますが、世界一信用度が高いアマゾンというブランドをうまく利用して販売することで、着火した商品の販売力が、そのまま起爆することも十分にありえるのが、アマゾンでの販売の魅力です。
この記事を参考にぜひアマゾンに出品してみてはいかがでしょうか。