本記事のテーマ

ECサイト運営の業務とは(役割、事務、担当者)【やるべきこと】

本記事で得られる知識

この記事では、ECサイトを運営したい初心者向けに、ECサイト運営に必要な業務内容を細かく分類して解説していきます。

記事の前提

本記事は B2CのECサイト運営を前提とした記事です。

1.ECサイト運営における基本業務とは

ECサイト(ネットショップ)比較に必要な前提知識

1-1.ECサイト運営の基本業務とは

ECサイトを運営するにあたっては、単純に「売りたい商品がある」という願望だけで、ECサイトの運営は成り立ちません。

一般的にECサイト運営とは以下の業務に分けることができます。

以下は代表的な業務内容ですが、どこまで手を込めるかは全てユーザー目線と費やす業務時間とのバランスで決めることがほとんどです。

また、昨今では下記全ての業務について、委託サービスが存在していますので、以下を全て細かく行う必要があるわけではありませんので、難しく考えないようにしましょう。

1-2.運営・経営

運営・経営は具体的なお金の流れの管理と、ECサイトを運営するにあたっての戦略をたてるものです。

1-2-1.マーケティング

マーケティングは、売上をあげるために必要な行動、経費を削減するために必要な行動全てを指します。

まだお店・ブランド・商品の存在を知らないユーザーに対して、自分のお店の名前やブランド、商品自体を知ってもらうための方法を実施したり、出店するモールや自社サイトに来てもらうための戦略を立てたりすることが基本です。

そのためには、いくらの売上をたてるためにいくらの予算を立てて、どこにその予算を投じるのかという計画を立てて、実行に移す作業に入ります。

具体的には、認知のため訪問者を増やすためには、google広告を使ったり、楽天内の広告を売ったりしてユーザーを引きつける、facebook・twitter・インスタグラム内にて、ハッシュタグ付きで投稿するなどです。

昨今はSNSの発展により様々な方法が存在しますが、とにかくバズらせることでユーザーに存在をしってもらう、お店にきてもらう方法で拡散的にマーケティングを行う機会が増えています。

1-2-2.マネジメント

マネジメントは現在の財政状態・経営成績を管理すること全般で、「管理」に重きをおいています。

日々の注文データ、売上データ、アクセス解析などのデータを管理して、マーケティングに関する意思決定の材料にします。

マーケティングのための材料の具体例としては、日々の注文内容からくる商品ごとの送料金額のデータを取り、月間の出荷数が当初の想定を上回ってきたデータを元に、運送会社と交渉して1回あたりの支払い送料の値下げ交渉に使ったりします。

その他にもクレジットカード払いの件数比率を出して、他の決済手数料を調べ、他社に決済機能を振り替えたりといった意思決定に役立てます。

1-3.フロント業務

フロント業務は、お客様であるユーザーが目で見えるところ、耳で聞こえるところの、見栄えをよくする業務で、ユーザーをお店に呼び込む・惹きつける業務全般を指します。

1-3-1.商品登録

販売したい商品に関する商品情報を登録して、販売可能な状態にします。

具体的には、商品名、キャッチコピー、商品詳細説明の文言テキストを入れ込んだり、価格・在庫数の設定、撮影・加工した画像のアップロードなどn作業を指します。

商品ごとに一つひとつ登録していくことになります。

1-3-2.画像撮影

商品の画像を撮影します。撮影する写真は、サムネイルと呼ばれる一覧表示用や、詳細の画像・ブランディング用画像、商品詳細説明内のページデザイン用、スマホ用など用途に分けて撮影していくことになります。

Amazonの統計では画像があるなしでは50%以上も購買力が変化するほど重要な要素であり、アマゾンでは画像登録のない商品登録は検索結果に表示されないなど、極めて重要な要素となっています。

モール系の場合は、スマホとPC用で見え方が違いますので、画像中心のスマホ用画像に手を加える機会が増えています。

1-3-3.ページ作成・編集

商品登録とは別に、商品に関する特別なページをホームページベースで編集する作業です。

昨今ではPCとスマホ両方に対応したgoogle対策用のレスポンシブデザインなど、見せ方と操作の仕方の両方の観点からデザインして構築することが一般的です。

1-3-4.特集ページ作成

商品のプロモーション用やキャンペーン用に、特別にページを作成します。商戦に備えて該当の商品郡をページ内にデコレーション表示したりして、ユーザーを惹きつけます。

1-3-5.SNS投稿

facebook,twitter,インスタグラムなどハッシュタグをつけて投稿することで、各SNSごとに異なるユーザー層にアプローチして、自社サイトへユーザーを呼び込む作業です。

このほか、オウンドメディアと呼ばれるメディアと同じように、お店の商材に関係する記事を投稿して、それをSNSと絡めて投稿し(バイラル)を起こして、お金をかけずに爆発的にユーザーを呼び込む方法が一般化しています。

1-4.バックヤード業務

バックヤード業務は主に、商品の流れに関係する業務と、お客様との接点に関係する、縁の下の力持ちの業務です。

1-4-1.受注処理

注文を受けた商品を発送するための作業全般を指します。

注文した商品が実際に存在するかの実在庫確認、出荷するための納品書作成、各運送会社の管理画面にログインして、送り状を印刷したりします。

このほか、商品を倉庫からピッキングし、必要なら検品の実施、梱包をして、納品書・送り状・商品の紐づけ確認をして、送り状を貼って出荷、最後に運送会社に渡します。

更に、出荷完了後に発送した際に発行される、追跡情報を全ての注文情報と紐づけて、最後に売上確定作業となる「出荷通知」を行って受注作業が完了します。

見栄えだけのフロント業務に力を注ぎすぎても(=売上があがっても)、出荷が完了しないと注文金額の請求が確定しないため、目で見える計算書類だけで業務を行っている経営者が一番見落としがちな部分がこの受注作業となります。

1-4-2.注文管理

出荷の際の受注作業とは別に、注文自体の管理も重要な作業です。

取り寄せ商品を含んで取り扱っている場合には、受注日と発送日が異なる「注文残」の存在がありますので、ページに表示した約束した納期に間に合うか否かも毎日確認します。

1-4-3.発注作業

取り寄せ商品で注文が入った場合には、注文後の発注作業を行ったり、また販売戦略の元予め商品を仕入れる際の作業も全て発注作業となります。

1-4-4.在庫管理

倉庫にある商品の実在庫(実際に存在する在庫)数と、各店舗でページ上表示されるデータ上の在庫数を一致させるように、管理する作業になります。

2つ以上のモールに出店している場合や、故障や修理頻度が多い取扱商品の場合には、実在庫とデータ在庫がずれることは日常茶飯事です。

一番最悪なのは、お客様が在庫ありとして購入した商品が、実際に受注作業の中で注文後になって実は在庫切れが判明した場合です。

たった1個でもお店の信用問題につながる危険性もあり、モール出店に至っては店に対しても商品に対しても、低い評価を投稿される危険性が高まりますので、バックヤード業務の中でも極めて重要な業務になります。

1-4-5.入出庫作業

発注した商品が入荷した場合に、発注数量と入荷商品数が一致するかを確認したり、商品を出荷するためにピッキングする作業に当てはまります。

入庫数や出荷数は、増減が著しいためどこかでデータズレが起こりますので、定期的に棚卸し作業をして、データ上と実数をマッチさせる必要があります。

また、予め決めておいた場所に商品を正しく入庫作業しないと、いざ注文が入った時のピッキング作業で行方不明となり、ピッキングに必要以上の時間をかけてしまうことになり、余計な人件費がかかりますので、営業利益をあげるために重要な作業になります。

また、最終的に実在庫が必ず存在するにも関わらず、行方がわからないと放置してしまうと、そのまま在庫ありなのに回転せず、ただただ不良在庫おして残ってしまうことになります。

物流や倉庫を経験したことのない人が経営をすると、目に見えないここの部分が疎かになりやすいため、閉店や赤字になってしまう要因の一つになります。

1-4-6.顧客対応(電話、メール)

電話やメールに対するユーザーとの窓口として極めて重要な業務になります。

問い合わせ内容は多岐に渡り、出荷前キャンセル依頼、商品に関する問い合わせ、不具合に対する返品・交換依頼の対応や、注文内容の住所の番地不明や欠品連絡など、ユーザーと触れる全ての業務がここに集約します。

お客様と実際にコンタクトを取る唯一の場所でもあるため、ブランド力向上や店に対する信用をあげるためにも重要です。

また、クレーム対応も最低でもファーストコンタクトは、顧客対応で行うことになります。

1-4-7.返品・返金対応

店都合の不良品などの返品の一連の商品の流れ、返金といったお金の流れなどの処理です。

代金引換を選択した注文が受け取り拒否により戻ってきた場合などがありますが、商品が戻ってきた場合に棚戻ししたり、棚戻し後にデータ上の在庫数を修正、また不良品ならばメーカーと交換のやり取りや修理など、「やりたいくないけどやらないといけない」ルーティーン業務の一つです。

 

2.多岐に渡るため最初から業務最適化の網羅は難しい

多岐に渡るため最初から業務の網羅は難しい

ECサイトは単にモノをネットで売るに留まらず、売上をあげる経費を削減するために、実に細かい業務が存在します。

これだけ多くの業務がありますから、全てを網羅することは厳しいです。

2-1.年商1億円程度までは運営・経営とフロント業務に注力

開店当初のうちは、注文自体が少ないわけですから、出荷や顧客対応などの対応時間は非常に少ないです。ですので、まず少ない人材規模で売上を立てることに注力する必要があります。

この場合は、品質向上(配送品質や商品品質の担保)よりも売上重視となります。

そして1億を超えるあたりから、運営・経営・フロント業務に力を入れるのと平行して、「初めてやる人でもできるオペレーションルールを策定して」バックヤード業務の業務効率化を行う必要があります。

システムを導入せず、エクセルの関数レベルや人依存による目視確認でバックヤード業務を行っていると、会社の売り上げの上昇の仕方が一定だとしても、その手間はJカーブのように上昇していき、売り上げの上昇率よりもバックヤード業務の負担率が大きく上回る事態になりがちです。

このタイミングで、計算書類などの結果の確認や、目にみえるフロント業務ではなく、目に見えない運用面のバックヤードの負担増に対して、かじ取り役のトップや経営者が気づけるかがその後の売り上げと残る利益の上昇の鍵となります。

このタイミングでまだバックヤード業務に力を入れない、その重要性に気づけないとなると、売り上げの上昇率に対して粗利、営業利益、経常利益の上昇率が追いつかない事態となり、負担だけが増えて残り利益が大して変わらない状況に陥ります。

2-2.Amazon、モノタロウなどの大手企業がどこにお金を投じるのか

目先の利益や、計算書類上の数値でしか物事を判断できない経営者の場合は、1億になろうが10億になろうが、バックヤードに力を入れることを怠りがちです。

運営・経営・フロント業務が売上の向上につながるのに対して、バックヤード業務の最適化は「経費削減→営業利益率の向上」に寄与します。

いまやGAFAの1つである世界一の企業になったAmazonが設立から今の今までどこにお金を投資してきたのかをイメージしてください。

Amazonだけではありません。日本国内を見てもセブンネットショッピング、モノタロウ、その他何百億レベルの売上をあげる巨大ECサイトを運営する企業は例外なく物流センターとシステムにお金を投じています

中小企業の経営者の多くは目先の利益である「目に見える部分」に力を入れて、上記のバックヤードとシステムにお金を投じることを怠ることで、大手とのギャップが生まれることになります。