
本記事のテーマ
アマゾンの代金引換を使った大規模ないたずら注文のトラブル内容と対策【ECサイト運営】
本記事で得られる知識
最近頻発しているアマゾンのいたずら注文に関する問題とセラーがするべき対策方法を知ることができます。
記事の前提
アマゾンB2Cサイトを運営している方、運営を検討している方向けです。
1.問題の特徴を知る
1-1. アマゾン全体でおきている
ここ最近、筆者が運営するアマゾンのお店でいたずら注文が増えています。
こちらが逆恨みされるようなことはしていないつもりですが、単発的におきたことかと思って、凌いではいたのですが受け取り拒否したという連絡が頻発し、そしてそれっぽいのが継続的におきているので調べてみると、どうもアマゾン全体でおきているようです。
今回は大規模な代金引換を使ったいたずら注文について判明している現状と特徴、解説策などを解説します。
尚、信憑性としては筆者運営店舗ではこの投稿日現在で、累計で約50件ほど判明しており、確認作業にて対策をほどこし、実際に出荷してしまったケースは15程度(対策前)、その中でお客様がなぜか支払ってしまったのが1件でした。
現在はこれから説明する対策でとりあえず、いたずら注文自体受け付けない状態にしました。
1-2. 今回のケースの特徴とは
まず、今回のいたずら注文ですが、筆者運営の店舗でもカテゴリーに関係なく、以下の特徴があるなと率直に感じます。
1-2-1. 代金引換である
筆者が受けた注文内容を見ると、まず例外なく代金引換による注文です。
もちろん、それ以外の支払い方法を選択した上でのいたずら注文は存在はすると思いますが、おそらく今回の種類のシステマティックないたずら注文とは違う、別の者による犯行ではないかと思います。
1-2-2. 初回購入である
アマゾンの管理画面では過去に同じ注文者でストア内で購入履歴がある場合は、注文詳細画面内にそれを確認できるリンクがありますが、筆者確認のいたずら注文は50件全てでリンクがありませんので、全て初回注文でした。
1-2-3. 注文者とお届け先名が異なる
注文者とお届け先の名前も例外なく異なっています。
したがって、管理画面上で確認できる注文者に仮に電話して繋がった場合は、確実に注文した覚えがないということが判明します。
1-2-4. 全てではないが電話番号の先頭が0落ちしている
注文者の電話番号の先頭が0から始まらない番号になっていることが過半数を占めています。
ただ、これは時間の経過とともに0がつくようになってきているのも事実ですので、一概に0落ちしているとはいえなくなってきています。
1-2-5. 注文数が1アイテム1点で金額が高すぎずのもの
受け取りをしやすい状況を選んでいるのか、筆者が確認した全ての注文情報を見ると、金額的に2000円以上12000円未満となっていて、商品が届けられた際に、身に覚えがなくても同居人が買っただろうと推測して、代わりに払ってしまいそうな金額になっています。
1-2-6. お届け先住所の中で同じ部分が重複している
今回のいたずら注文の一番の特徴ですが、例えば「神奈川県横浜市鶴見区■■■町○-○-○」という住所の場合は「神奈川県横浜市鶴見区横浜市鶴見区■■■町○-○-○」という表記になっています。
筆者運営店舗50件中49件はこの法則の住所設定となっていました。
ちなみに、残り1件は「神奈川県横浜市鶴見区千葉県千葉市■■■町○-○-○」のように、市町村名の一部がどちらも存在するが全く異なるケースでした。
1-2-7. お届け先住所が存在する
上記の異なる地域2つが重なるお届け先住所や、番地のないもの(もあった)については、発送してしまったところで、お届け前に運送会社から確認が入るパターンになります。
しかし、それ以外の49件については、実際に存在する住所のようで、最初気づかずに発送してしまった15件全てについて、運送会社から「”お客様から”受け取り拒否」という連絡がきました。
1-2-8. 大規模且つシステマティック
今回のいたずら注文はかなり大規模で、システムをプログラムした上で、実行しているような特徴がかなり見えます。
人を動員して攻撃してるというより、人がシステムを構築してアマゾンにしかけているというイメージです。
1-3. アマゾン側の対応
アマゾンのテクニカルサポートに確認をしたところ、こういうケースが増えてるのは事実としながらも、そもそも防ぐ対策については現在対応中で答えられないとのことでした。
ただ、救済処置的な意味で以下で説明をする方法でなければ、セラーセントラル運営で一番重要な顧客満足度品質を悪化させずに、対応することができます。
2. 攻撃者の意図とは
2-1. どうやっておこなっているのか(ほとんど推測)?
ここは完全に筆者の推測になりますので、確証としての話ではありませんと前置きした上で、、、、
アカウントののっとりではなく、アマゾンでユーザー登録から購入までの一連の流れをシステム化しているのではないかと見ています。
なぜかというとアカウントののっとりだと、パスワードを推測してパスワードを解除するまでにも時間を要しますし、そもそもの存在するアカウントを取得するのにも時間かかるでしょうし、のっとった跡に代金引き換え選択による返金を狙ったとしても振込み先の銀行口座自体ののっとりにも時間がかかる上で、のっとった1アカウントあたりで数件のいたずら注文をした段階でアカウントが凍結になりますので、割に合わないのではないかと感じてしまうためです。
凍結になった時点で、取得した口座情報も次回から使えないことでしょう。
また、判明した注文内容のうちお届け人の名前がたまに「Amazonカスタマー」となっていることがそこそこあるので、名前決定もアマゾンレビューからシステマティックに収集してるのではないかと思います。
ただ、それでも今の世の中そこそこの処理能力でのっとりをする可能性があるので、この手間自体がシステムによってカバーされている可能性も十分にあります。
2-2. どこで利益を得るのか?
代金引換に限定されている時点で、セラー側の心理として注文自体を「返金処理」しようと考えてしまうと思います。
そして返金処理実施時に間違った理由を選択すると、注文金額が(のっとられた?もしくは悪意がある攻撃者が解説した)購入者のアカウント内の振込先にお金が戻る(正確には攻撃者の口座に払う)ことになります。
筆者運営店舗でも50件近いいたずら注文を受けているため、全体では相当数にのぼると思いますので、この正しい事後処理の仕方を知らないセラーが少なくても、全体としてはわずかでも絶対数としてはそこそこの金額を手にしてしまうのではないでしょうか。
筆者運営店舗の50件を仮に返金処理していた場合は単純に50万円~70万円程度を支払ってしまっていたことになります。
3. セラーとしての対策
3-1. 事前対策
3-1-2. ほとぼりさめるまで全ての代金引換のチェックをはずす
残念ながらそもそも発生させないための確実なのはこれしかありません。
そもそも代金引換という選択は、ある程度の規模があるセラーでないと実施しないと思いますし、筆者は全商品の代引のチェックをはずして、そもそも受け付けないようにしました。
お客様からしたら支払方法の選択肢が狭まるわけではありますが、そもそもの代引き注文の比率が少なかったので、止めても売上げへの影響は全くありませんでした(むしろほかの要因で上昇してます)。
3-1-3. 注文者に電話で(amazonアカウントを持っているを含めて)確認する
これは受注はしてしまったものの、発送さえしなければお金の流れが発生しない点で、上記に該当する注文については、(先頭0落ち電話番号の場合は先頭に0をつけたして)お客様に連絡してみるのもいいと思います。
以前販売していたスイーツ系のネットショップでは、初回購入且つ代金引換注文のお客様については、出荷作業の前に直接電話で確認をする方法をとっていました。
注文者に電話して注文の有無を聞けば、いたずらか否かすぐ判明します。
その際に、アカウントののっとりの可能性も伝えてすぐに確認してもらうといいと思います。
3-1-4. メールで明日中に電話するよう確認を促す
筆者がおこなった方法ですが、既に受け付けた該当する注文については、「当店を初めてご利用するお客様で、ご注文者様とお届け先様の名前が異なる場合、電話による確認をさせていただいております。
頂きましたご注文者様のお電話番号にご連絡しましたが、繋がりませんでしたため、恐れ入りますが当店にお電話にてご連絡頂けますでしょうか。明日中にご連絡頂けません場合には、誠に勝手ながらご本人様確認が不可としまして、当店にてキャンセル処理を実施しますので、ご理解並びにご了承のほどお願いいたします。ご連絡お待ちしております。」というメッセージを送り、実際に2営業日後にキャンセル処理を行っています。
この文言の場合、そもそもいたずら注文ならメールを見ることはありませんが、アマゾン川でキャンセルの理由が「いたずら注文か否か」を判別するために、メールの内容をみてアナログ対応で判断してくれることも増えているため、あえてこの文章で送っています。
これでキャンセル処理をしてアマゾンに確認をとれば、配送品質・顧客満足度指数に影響を与えずに処理を行うことが可能になってきます。
また、実際にいたずら注文でない場合に、連絡がきた場合に初めていたずら注文が増えている経緯を説明すれば、納得される方がほとんどだと思います。
3-2. 事後対策
3-2-1. 受け取り拒否の場合は、戻してもらう以外方法がない
代金引換で受け取り拒否の場合は、今回のケースに関係なく戻してもらって、発送時・返送時の送料を負担する以外に方法がありません。
3-2-2. アマゾンの管理画面上ではキャンセル処理をしない
絶対にやってはいけないのは、セラーセントラルの注文詳細ページ内での返金処理です。出荷通知を押して出荷済みにしてしまった場合は、「返金処理をしない」と覚えておきましょう。
なぜなら、のっとりであれそうでないにせよ、注文者事態が悪意のある攻撃者に所有されているからです。返金処理は「代金引換の金額をお届け人が支払った場合にお届け人に返金処理をするため」ですから、この届け先人と注文者が異なる場合は、アマゾン内での処理は不要です。
もし、お届け人様が支払ってしまった場合は、お店側で支払ってしまったお届け人様に、「返金のための振込先情報」を聞いて、そこに返金する必要があります。