
本記事のテーマ
儲かるECサイトを運営するには?
本記事で得られる知識
ECサイトが儲かるかどうかではなく、儲かるECサイトを運営するために必要な要素を知ることができます。
記事の前提
B2B,B2Cサイトを運営している方、運営を検討している方向けです。
1. ポイントを抑えると儲かる
1-1. お金をかけるべき投入先は?
ECサイトは何万社と存在しますが、それぞれが全く異なる性質を持っています。
事業規模1つをとっても、個人事業でやっているところもあれば、何百億という売上げ規模で展開する大企業が存在しますし、個人事業であっても個人商店の規模のところもあれば、徹底的な合理化で何億と稼ぐ人もいます。
それぞれの形態によって、利益の源泉ポイントは異なりますが、儲かるか否かという観点でいくと4つのポイントに集約されます。
それは商品力、魅せる力、バックヤード業務の徹底的な合理化・効率化、そしてお客様に接する真心です。この3つが効率よく、そして徹底的に磨かれると儲かるECサイトが出来上がります。
アマゾンは地球一の品揃えと顧客満足度をスローガンに抱えていますが、商品は品揃えの多さによって1億種類以上の品揃えを実現していますが、設立から今まで全てバックヤードであるシステムと物流センターにお金を投じています。
今やGAFAの1つであり世界一のECサイトプラットフォーマーであるアマゾンでさえお金を投じているのはバックヤード業務です。
1-2. 商品力
役にたたない商品を売ってもお客様は購入しないどころか、興味をもってくれること自体が難しいでしょう。お客様が使用して役に立つもの、満足するものをチョイスしないと、不良在庫となりいつまでも回転せずに塩漬け状態になりますので、仕入れてもすぐに在庫がなくなるような回転の高い商品を選別することは非常に重要です。
1-3. 魅せる力
どんなに質のいい商品でも、お客様が見える環境を作らなければ売れることはありません。
その魅せ方は、商品画像であったり、商品説明であったり、動画であったりといろいろな魅せ方があります。
商品説明については、コピーライティングと言ったりしますが、コピーライティングの鉄則は「商品の魅力は商品の本質を超えない」ことにありますので、その商品のもっている品質を最大化することが魅せる力の本質です。
商品の本質を超える魅せ方をしてしまうと、お客様からすると「商品画像がすごくよかったのに実際に届いたらそうでもなかった」「商品のついての説明を読んでいいなと思って買ったのに、実際にはそんなでもなかった」といった、逆効果になりがちです。
回転力の高い商品を選んだ上で、商品の本質を超えない最大化された魅力の伝え方によって商品の売れ方が決まっていきます。
1-4. バックヤードの効率化
ECサイトの難しいところは、ITと呼ばれるイメージの中にある、フロント業務(ページ作りや商品画像の撮影など)とは別に、バックヤード業務が会って初めて両輪としてECサイト運営が成り立つという点です。
バックヤード業務とは、電話、メール対応、在庫管理業務、受注管理業務、顧客管理業務、発送業務、検品業務、仕入れ業務、入出庫業務など、裏方的な業務全てを指す、物流がメインの部分です。
商品の魅力を最大限にしたページを作ってアクセスが増えて注文が入っても、どんなに売れる商品を仕入れて注文が入っても、肝心の商品自体の在庫がなければ、出荷もできなければ、お客様に商品を届けることもできません。
意図的であれ意図しない結果であれ、簡単な話「詐欺」といわれるサイトと同じです。
そして、多くのECサイト運営をする会社は、ここの部分がおろそかな場合が非常に多いです。
ページ作りや広告など見える部分については、実店舗でいうとお店の外装を魅力的にしたり、広告を打ったりしてお客様を呼び込む部分。
バックヤード業務については、呼び込んだお客様に実際に満足感をもってもらいリピートしてもらう業務そのものです。
そして、本題である「儲かるECサイト」を運営するには、このバックヤード業務を「省略せずに効率化する」ことが重要です。つまり、お客様のリピートにつながる部分を省略すると、リピートになりませんから、省略せずに高い質(=リピートしてもらえる質)でかつ短時間を行うことが儲かるサイトの肝のひとつです。
1-5. お客様に接する真心とは
お客様は神様ではありませんが、ネットショップ運営の場合には実店舗と違って、商品が届くまでは実物による感動を得ることができません。
購入される方によっては、ホームセンターなどの実店舗で実際にモノを確かめて、値段の安さなどの理由でネットで買うお客様もいます。
この場合における真心というのは、商品が届いてダンボールをあけたときに、商品が届いたという感動以外でどれだけ多くのわくわう感や、安心感、満足感を得てもらえるかということになります。
感謝の気持ちを伝える文言が入ったリーフレットを添えたり、性質の違う商品同士の間にぶつかっても大丈夫なような別の包装を間に挟んだり、ノベルティをしれっと入れたりするなど、商品以上の満足感を得てもらえるための努力というのは、今後のECサイトの肝です。
2.商品
2-1. 商品の選別
商品の選別(売れる商品をリサーチして探す)ためには、売る商品か売れる商品かで判断する必要があります。
売る商品というのは、商品自体の存在を潜在的な顧客が全く分からないため、お店のページ作りや使い方の提案、体感や画像によるイメージのわきやすい体制を作ることが必要な、「売るために努力が必要な商品」のことです。
自社ブランドなどはブランディング戦略として、このようなタイプの商品についてお客様への露出を増やし、実際にその魅力を知ってもらうことで買ってもらえるので、生活必需品のように勝手に売れるけど利益が薄いのとは間逆で、売る魅せ方をしないと売れないけど、売れたらそこそこ高い利益率が見込めるというものです。
2-2. 競合品
競合品は売れる商品であり、生活必需品など何もしなくても勝手に注文が入るようなものがあります。
生活必需品はどこでも扱っていますから最初から価格競争になりますので、大量に仕入れて個単位の仕入れ値を抑える必要がある上に、薄利多売になりがちですので、価格で負けた時点で大量に不良在庫になる危険性があります。
業態によっては感じの悪いやり方になってしまいますが、長期欠品することが分かっている必需品の場合は、そのタイミングを感知して大量に在庫を抱えれば、薄利多売ではなく定価販売でも十分に利益になったりという、考えて仕入れる、考えて売る力が必要になってきます。
2-3. オリジナル商品
お客様で便利だけどありそうでなかったような、掘り出し物的な売れる商品や、そのような要望の商品を実際に開発したものなどは生活必需品であってもオリジナル商品の位置づけが強く、売るための努力も必要になってきます。
いわゆるコピーライティングと呼ばれるテキストの書き方を身につけると、売る商品が売れる商品に化けることが多いため、ブランディング戦略のうまいECサイトの多くは基本的にこのコピーライティングを磨いてることが多いです。
言い換えれば、個人事業主であっても商品の目利きの力を磨いた上で、きれいな画像・ページが作成できれば、それだけで利益率の高い商品を販売することができますから、儲かるECサイトを運営できることになります。
2-4. 利益率をあげる工夫
利益率をあげる方法は原点回帰的な意味も含め1つしかありません。それは、「商品・お店の魅力を感じてもらってリピーターになってもらうこと」です。
つまり、好きになってもらってはまってもらうのです。
好きになってもらうためには、目に見えない商品を購入するわけですから、真心をこめた魅せ方・届け方が要求されます。
今や玉石混交な質を持つECサイト業界ですから、お客様は最初は信用するどころか疑って訪問することが一般的です。
そんなお客様の心をつかむためには、いいものを正しく魅せて、メーカーでさえ気づかない新しい使い方や分かりやく提案できる売り方が求められます。
商品は今やどんなものでも仕入れすることができる時代ですが、それらを最大限に使う手段を知る術がないことはざらにあります。ここにポイントを絞って商品ページを作るだけで、個人事業主であっても売れるECサイトを運営できます。
3. モノの流れの効率化
いわゆるバックヤード業務と呼ばれる、注文後に出荷するまでの業務であり、これによって注文代金が確定します。
儲かるECサイトはここの部分に力を注いで、出荷品質をあげながら、投入する時間を少なくして高速化・効率化をしています。
ECサイトが儲かるか否かはバックヤード業務の効率化にかかっているといっても過言ではありません。
3-1. 出荷体制を選別する
モノの流れを質を落とさずに向上させた上で効率化・合理化・高速化することは、最終利益率の向上に繋がります。
注文が入ってから商品を出荷するまではの流れの効率化は、出荷体制によって判断がことなります。
経費や利益計算・管理が必須になりますが、出荷業務まるまる委託するのも効率化のひとつです。
有名なのはアマゾンのマルチチャネルや、楽天のスーパーロジスティックスなどがあります。
特に小規模で展開し始めるECサイト運営となると丸々預けて出荷を委託するほうが、メリットが大きい場合もあります。
ちなみにですが、アマゾンマルチチャネルは月額4900円且つ出荷時の手数料、1日預けるごとの保管料はかかりますが、それでも業界の中では比較的安価です。
出荷体制を内製化するか外注化するかによっても利益率の幅が多きく異なってきますので、自社出荷の場合と委託倉庫出荷の場合の手間と経費をシミュレーションするといいでしょう。
3-2. 運送会社を選別する
運送会社ごと、そして幅やサイズ重さによって、1注文あたりの支払い送料は異なります。
業界一般的には、月間の取り扱い量によって送料が割引されることが多いのですが、昨今の佐川急便のように、出荷量と割引率がリンクしない場合があるなど、運送会社によって対応はばらばらになってきました。
ただ、昨今の送料の値上げラッシュで送料自体が全体的に値上げが続いており、取り扱う商品のサイズ・重さをきっちり調べた上で、適切な運送会社を選ぶようにしましょう。
3-3. 商品の仕入れ
販売する商品が決まった後は、在庫が切れそうになれば定期的に発注し、商品が入ってきたらルールに基づいて商品の入庫処理、棚要れ、そしてデータ在庫の更新をすることになります。
商品を選別したり探したりする場合には、それなりの余裕のある時間でのリサーチが必要になりますが、一度販売する商品が決まった後は、これらのモノが入ってくる際の作業は効率化することができます。
出荷代行を利用する場合は一旦自社倉庫に入れてから委託倉庫への納品作業を行うよりも、直接仕入先から倉庫に送ってもらうほうが効率がいいですので、自社倉庫の入れる場合も委託倉庫に入れる場合にも、1回の動きでできるように工夫をするなど、移動の効率化を図るといいです。
自社倉庫の場合は、商品を発注した時点で、発注数量から保管するスペースをおおよそ計算することができますので、それまでにスペースを空けておくなど、全てルール化してしまうとスムーズです。
3-4. データ在庫管理と実在庫管理
ECサイト運営において一番重要な業務のひとつが、データ上の在庫数と実際の在庫数の差を0にすることです。
これは必ずと言っていいほどずれることが多く、実在庫のほうが少ないと在庫あり注文なのに欠品になりクレームになりますし、データ在庫が少ないと実在庫のほうが多いですので、在庫があるのに販売できていないという機会損失を招きます。
この差がなぜおきるのかというと、例えば不良品が発生した場合は、実際の在庫から数が引かれますが、何もしなければデータ上の在庫は変動しません。この時点で差が発生します。
ほかにも、商品を交換した、返品を受けた、サンプル品として使った、実際にお客さんが直接来てネットを通さずに購入したなど、要因はさまざまです。
逆に、データ在庫が勝手に変動する場合もあります。例えば、お客様が商品を「買い物カゴいいれた場合」が典型的な例です。
ここから先に進んで購入が確定すれば、いいのですが何日も買い物カゴに入れたまま(保留)の場合、購入が確定する前にデータ在庫を更新すると、その時点でデータ上のズレが発生します。
筆者の経験上最も長く買い物カゴに入れられていたのは1年です。
1年前に行ったキャンペーンでノベルティとして商品につけていたものが翌年に購入確定したということがありました。
ヤフーの場合には、一定期間買い物カゴに入れられるたままだと自動的に買い物カゴから戻されますが、楽天の場合は買い物カゴの分については把握さえすることができません。
アマゾンの場合も保留注文に1週間程度入ることになります。
ECサイト上は実在個が変動したらデータ在庫を意図的に変動させ、データ在庫が変動したら意図的に実在庫をチェックするというくせずけが必要になります。
よく、半年に一度や1年に一度たな卸しをする倉庫がありますがネット通販倉庫の場合には、常にデータと実在個の差が発生する可能性があるので、半年でさえ長期的なので適度な間隔で実在個チェックをする必要があります。
3-5. 注文時の受注処理
注文時の受注処理についても、複数店舗で販売してると、モールごとの処理が非常に手間になります。
筆者は自ら在庫管理・受注処理については一元化のシステムを作って運営していますが、基本的には個人事業主であればマクロやエクセル関数を利用して処理の高速化を行うことが必須になります。
3-6. 受注後のピッキング
自社倉庫出荷の場合で受注処理後の商品のピッキング作業についても、それなりの効率化が必要になってきます。
まず、注文が入る前の状況において、もっとも回転の高い商品を梱包台に近い場所に移動させる工夫が必要ですし、注文後には商品を取りに行く距離が最短になるようなピッキングシートを作成できるようにするなどの工夫が必要になります。
3-7.棚戻し
商品をピッキングしたものが出荷前にキャンセルになったり、返品依頼の商品が実際に帰ってきたりした場合の、棚への戻し作業についてもルールと効率化が必要です。
棚戻し商品を棚に戻す作業は、もっとも後回しにされる業務の一つですので、どんどん商品が山のように積もってきます。
この商品も販売可能な商品なので、これが溜まれば溜まるほど機会損失が発生しますし、棚戻し用の商品はなぜか雑に扱われやすいので、外のパッケージがきずつく可能性も生気のものよりも高いので、ルール化して定期的に棚戻しする術をつくるといいでしょう。
3-8. 運送会社の引渡し
商品の梱包作業が終わった後は、運送会社に梱包した商品をまとめて引き渡すことになります。
開業したてであったり、個人事業レベルの量であれば、持ち込みでも十分対応できるとは思いますが、量がどんどん増えてくると、運送会社から集荷に来てもらうなどの対応が必要になってきます。
この集荷の時間についても、運送会社によっては16時締めだったり、14時締めだったり、集荷場所の自社倉庫と営業店の距離によっても、集荷の時間が異なってきます。
できるだけ遅くとりにきてもらえるほうが、その日発送の量が多くなったりするので、この集荷の時間は非常に重要な要素になります。
この時間に合わせて出荷作業を終わらせる形でバックヤード業務を行いますから、この集荷の時間も運送会社を選別する場合の材料にするといいです。
4. 顧客対応
4-1. メールの効率化
メールの効率化というのは、問い合わせ内容を最初からパターンで選別して、メールのテンプレートなどを準備しておいて、迅速な対応のために準備をしておくことです。
お客様からの問い合わせメールはおおまかには、商品に関する問い合わせ、実在個確認、納期確認、注文のキャンセル、発送後の位置確認、交換依頼、返品依頼など、ほぼほぼ固定されています。
これにあわせたテンプレートを用意して(完全コピペはお客様からの反感を買いますが)、短い時間で最大限の対応を先手で行えるような体制にすることが重要です。
4-2. 電話対応の効率化
電話対応を効率化するためには、物流倉庫との連携が必要不可欠になります。
電話での問い合わせの内容も基本的にはメールによる問い合わせ内容と同じですが、電話を受けたからにはメールよりも早く(可能なら10~15分以内に)折り返しの電話をする必要があります。
それだけ早く問い合わせに答えるためには、大半が商品についてや、発送に関する内容なので、倉庫内に自らいける状態や、物流倉庫のメンバーと連携してすぐに問い合わせに必要な内容を調べれる体制が必要になります。
メール対応も同様ですが、唯一お客様と直接触れる場所である以上は、迅速化・高速化と同様に、最大のおもてなしとしての対応の丁寧さが必要となってきます。