ECサイト(ネットショップ)運営の発送代行を利用する

本記事のテーマ

ECサイト(ネットショップ)運営の発送代行を利用する

本記事で得られる知識

ネットショップ(EC)運営にあたって一番面倒なバックヤード業務の「受注業務」「発送業務」の委託代行をする場合のポイントについて解説します。

1. ネットショップ(EC)運営で出荷発送代行を利用する際のポイント

ネットショップ(EC)運営で出荷発送代行を利用する際のポイント

1-1. 心構え

1-1-1. 楽になるわけではない

代行を利用するからと言って全てが楽になるわけではありません。

ネットショップ運営は、イメージとは真逆で非常に複雑で細かく、そして実店舗以上にお客様視点にたった運営が重要です。

仮に発送を代行したとしても、1日単位での、保管料などを加味した利益計算は地道な管理が必要です。

この後詳細は書きますが、代行をすることで業務の効率化は実現できても、決して全て丸投げしてうまくいくわけではありませんので、要注意です。

1-1-2. 自社配送か代行か効率のいいほうで選ぶ

出荷代行を選択するか否かは、自社で同じオペレーションをやった場合に経費がやすいか、もしくは効率がいいかで、どちらかを判断することになります。

発送代行を利用するより、自社配送のほうが安いかったり、柔軟な対応ができると判断できる場合には、わざわざに簡単そうな代行を選ぶ必要はありません。

1-2. 代行を利用すると得られる特徴

1-2-1. 急激な受注時のなどの受け身の業務効率化

自社配送と発送代行の大きな違いは何かというと、メディアに取り上げられたり、急にニーズが高まったりした場合に注文が急増する場合に、代行発送のほうが受注に耐えられる可能性が高い点です。

自社配送で、自社スタッフのキャパシティを超えるような注文が入った場合、基本的に配送の遅延を招いて顧客満足度が下がったり、スタッフの残業が増えるために人件費が急にあがったりしたりと、売上はあがるかもしれませんがそれ以上に負担が大きかったりします。

その点、代行配送のほうがそういった急増時の対応に慣れていることが多いですし、何より受注が急増してもそれ以上に負担が重なることは稀です。

1-2-2. 工数が減る

代行発送内のスタッフはいわば出荷のプロです。自社内スタッフがオペレーション取り組む工数(人ひとりあたりが1時間費やす人件費)よりも、圧倒的に少ない工数で済みます。

1-2-3. 商品回転の計算が必要

代行発送は1日あたり○○円と保管料がかかる場合が一般的です。

従って、商品を倉庫に預ける際には、商品ごとに平均で何日程度で商品が発送になるのかを計算に入れて、経費計算を行う必要があります。

これを怠ると長期に渡って保管されてしまい、発送される頃には利益がないどころか、結果的に赤字になってしまう危険性が高いですので、この計算は省けません。

1-2-4. サイズ・重さは全商品分把握すること

保管料はサイズや重さによって計算が異なるところがほとんどです。送料を月額の総額で前月比や前年同月比で管理するよな固定費としてのイメージで管理していると、発送代行では失敗しやすいです。

これは代行発送に限ったことではありませんが、基本的に送料の計算は仮に取り扱いアイテム数の種類が何十万、何百万と存在していても、必ず商品ごとの三辺サイズや重さをデータ化する必要があります。

サイズ・重さがわからないのに、送料金額を算出することは不可能で、送料算出ができていないのに、代行発送がいいかどうかの比較をすることはできません。判断できないものに対して楽だからと預ける安易な考えにつながりやすいので、必ずサイズと重さを把握するようにしましょう。

2. 把握するべき手数料の種類

代行発送に関連する手数料の解説に入ります。

2-1. 納品のための支払送料

商品を自社倉庫から代行発送する倉庫に預ける場合にかかる送料です。

通常は大きいダンボールにまとめて、大量の商品を発送するので、比較的個あたりの送料はかかりませんが、それでも数順単位であっても1個あたりの販売金額に経費として参入しなければいけません。

商品によってサイズや重さが変わりますので、均等配分にするのか、サイズで按分するのか重さで按分するのかは、お店によって違います。

2-2. 月額基本料

代行発送を利用する際にかかる月額の費用になります。

アマゾンであれば、大口出品が前提になるため、月額で4900円発生したりしますので、これが固定費として経費計算する必要があります。

固定費ですので、売れれば売れるほど商品1個あたりの経費が相対的に低くなります(例 : 100個売れた場合、4900 ÷ 100 = 49/個、200個売れた場合、4900 ÷ 200 = 25/個)

2-3. 保管手数料

保管手数料は、通常はサイズや重さによって金額が異なりますが、1日あたりで発生する倉庫を利用する際の費用となります。

商品ごとに売れ筋や回転数が違ったりしますが、例えば過去の月の実績から、平均で出荷される日数がおおよそ計算できるかと思いますので、通常は商品ごとに回転期間を定めて、1日の保管料と平均回転日数を乗じる形で算出します。

2-4. 発送代行手数料

これは注文が入った時、1回の注文で請求される発送作業に関する手数料です。

こちらは商品個別ではなく、1注文ごとに発生することが多いです。

2-5. 返送手数料

商品の返送を受け付けた場合にも、倉庫によっては料金が発生する場合があります。

2-6. その他の手数料

この他に、倉庫側からすると早く回転してほしい意図をもって、一定期間在庫が動かずに保管されたままだと、長期保管手数料を課す倉庫があったりします

3. あるべき業務体制

3-1. 仕入元からの直接納品体制

商品を発送代行の倉庫に預けるにあたっては、預ける商品全てについて、ピッキングから始まり、専用のシールを印刷して貼ったり、袋に入れたりと手間をかけて倉庫への発送作業を行うことになります。

この点でいうと、基本的に発送代行を利用しても自社配送をしても、結局梱包することに変わりありません。

そこで、仕入元や輸入の場合はその国を出国する前の段階で、はじめからシールなどをはってもらい、倉庫に預けるほうが効率がいいので、少し料金が高くなっても、手間を考えると全てを自動化するほうがいいでしょう。

3-2. 規定回転数以上は返品させる

長期の商品保管は不良在庫と同じですので、予め「○○日以内に売れなければ返品する」というルールを設けてきっちりと遵守するといいです。

返送送料がもったいないと思うかもしれませんが、売れずにいつまでも手数料がかかるよりはマシであり、在庫は回転しなければ価格を安くするなりして、早めに在庫処分して現金化する手段は極めて王道です。

4. 発送代行会社を選ぶ際のこつ

4-1. 工数の概念で比較する

工数は、1人が1時間費やす時の単位を指します。一人が2時間費やせば2人時(にんじ、MH、マンアワー)になり、3人で2時間ずつ費やした場合は計6人時かかったと表現します。

人件費を固定費とみなす経営者は多いですし、それは一般的なことですが、ネットショップ運営は薄利多売のケースが多く、アルバイトやパートさんなど時給計算のスタッフが比較的多いです。

原価計算の観点での話ではありますが、作業負担の比較は送料などの金額がすぐ分かるもの以外に、1つの作業に対して工数がどれぐらいかかったかという労務費計算をしないと、業務効率をあげるために発送代行をするべきか否かの判断ができません。

4-2. 自社発送時の送料と、代行発送時の送料の比較

比較する自社発送時の送料は、梱包時の人件費(工数)とプチプチなどの資材、出荷時に仕様するダンボール代を含んで計算した経費を含んで比較します。

発送代行を想定した費用については、まとめて自社倉庫から委託倉庫へ納品する際の個単位の送料、発送代行手数料、想定する売れるまでの想定保管日数で比較します。

4-3. 自社梱包時と代行発送時の工数の比較(資材も)

結構忘れがちなのが、自社倉庫出荷時の「1個あたりの梱包時間」です。

受注から出荷完了までの工数(1人が1時間費やした場合の費用)を、注文個数(注文数ではない)で割った時間が1個あたりの出荷工数になります。これに時給から算出した経費を出すことで、1個あたりの労務費を計算できます。

自社出荷時の計算には必ずこの工数を入れて計算しましょう。倉庫に委託した場合の出荷代行手数料には、この工数が含まれているためです。